本紙が選んだ今年の10大ニュース

鉄鋼

需給ひっ迫で鉄鋼メーカーの業績改善

 特殊鋼棒線や薄板など需給ひっ迫が加速。店売りの引き受けカットが拡大した。鋼材価格上昇で高炉など鉄鋼メーカーの業績改善鮮明に。16年度に赤字だった高炉大手の単独損益は黒字化へ。

普通鋼電炉、品種で業績に明暗。鉄筋メーカーの悪化目立つ

 鉄スクラップ、電極、物流費、耐火物などコストアップが目立つ中、製品価格が上がった形鋼や鋼板メーカーは増益に。鉄筋(異形棒鋼)主体のメーカーは減益や赤字と苦戦。

中国で鉄鋼生産能力削減、地条鋼は淘汰

 16年に能力削減された6500万トンには休止中の設備も含まれていたが、17年は稼働していた設備中心に7月までに5千万トン削減。それとは別に生産量8千万トンともいわれる「地条鋼」は取り締まりで淘汰され、生産能力削減進む。

新日鉄住金、日新製鋼を子会社化。高炉3グループ体制に

 新日鉄住金が3月に日新製鋼を子会社化し、社長に新日鉄住金出身の柳川欽也氏が就任。わが国の高炉メーカーは3グループ体制に。新日鉄住金と日新製鋼は鉄源融通、高炉操業技術の供与、生産の受委託などを進める。

鉄鋼商社も再編。三井物産が日鉄住金物産へ400万トン商権譲渡

 三井物産は、来年4月に日鉄住金物産への出資比率を2割に高めて持ち分法会社化する一方、年400万トンの商権を譲渡することで合意。

鉄鋼二三次流通も再編。商社系では資本系列を超えた組み合わせ目立つ

 JFE商事は新潟、北陸の子会社事業を再編。JFEグループのリバースチールは全事業をグループ会社などへ移管することを決めた。メタルワンと住商は国内鋼管事業を来春統合へ。伊藤忠丸紅と住商は広島地区でCC事業を再編・統合へ。

鋼材市況、国内外で上昇。熱延コイルが5年ぶり600ドルに

 東アジアの熱延コイル市況は年初に500ドル台半ばだったが、5年ぶりに600ドル台に乗せた。国内鋼材市況も年末にかけて上昇が目立つ展開に。

JFE出資のベトナムFHS社。1号高炉に火入れ

 台湾プラスチック、台湾CSC、JFEスチールが出資するベトナムの高炉一貫製鉄プロジェクト「FHS社」が5月、1号高炉に火入れ。日本高炉が出資参画するアセアン初の鉄源製鉄所に。

原料炭の価格決定方式変更。スポット連動型に

 4半期ごとの値決めで、資源会社と高炉メーカーは交渉によるベンチマーク方式ではなく、スポット連動型への変更で合意。鉄鉱石と原料炭ともにスポット連動型に。鋼材ヒモ付き価格にも影響。

働き方改革広がる。業界内でもロボットやAI活用の動き

 メーカーや流通で働き方改革に沿った施策の導入が相次ぐ。生産効率化、品質改善、安全衛生向上を狙って自動化技術を導入する動きも加速。

非鉄金属

亜鉛10年ぶり高値、資源価格軒並み高騰

 ロンドン金属取引所(LME)亜鉛市況は8月、2007年以来10年ぶりに3000ドルの大台を突破。中国の減産などで供給障害懸念が強まった。銅は10月に3年ぶり(7073.5ドル)、アルミは11月に5年ぶり(2188ドル)の高値を付けた。

インドネシア、ニッケルなど鉱石輸出規制を緩和

 ニッケルやボーキサイトなど未加工鉱石の輸出規制を緩和する政令が1月に出され、3年ぶりに条件付きでの輸出再開が決定。資源価格低迷で業績が悪化していた国営企業の救済などが狙い。

PPC・佐賀関製錬所が44年ぶりに自溶炉の大規模更新

 9~12月にかけて1973年の操業以来初となるレンガ更新を含む大規模更新を実施。高負荷操業も可能となり、鉱石やリサイクル原料の処理量アップや新技術の開発に取り組みやすい土台を構築。

国内で自動車用アルミパネルラインの新設相次ぐ

 自動車の軽量化に対応し、UACJと神戸製鋼所が国内拠点に自動車パネル用アルミ板の仕上げ設備の新設を決めた。いずれも年10万トンの能力を持ち、20年1月に稼働予定。

DOWA、メキシコの銀・亜鉛・鉛鉱山を開発

 DOWAホールディングス子会社のDOWAメタルマインが権益30%を保有するロス・ガトスプロジェクトが19年下期の操業に向けた開発工事段階に。坑内掘で可採鉱量は980万トン。DOWAに亜鉛精鉱全量を引き取る権利。

りん青銅条、加工賃の引き上げ相次ぐ

 りん青銅板条最大手のJX金属が4月、約30年ぶりの加工賃引き上げを打ち出し、原田伸銅所や清峰金属工業などが続いた。スマートフォン関連需要の拡大などによる需給ひっ迫に対応。

神戸製鋼、ノベリスの韓国工場合弁化に350億円

 神戸製鋼所は9月、米ノベリスが分社化した韓国・蔚山工場の株式50%を取得。アルミ板を造る真岡製造所の能力ネックを解消するもので、神鋼にとって初の海外アルミ板圧延工場。自動車パネルの母材などを製造する。

バーゼル法改正、金属リサイクル業に影響

 バーゼル法の改正案が6月に成立し、18年12月までの施行が決定。廃鉛バッテリーや廃基板、雑品スクラップなどの不適正な輸出入を防止する狙い。リサイクル業者への影響に注目が集まった。

海底熱水鉱床の連続揚鉱試験に初成功

 経済産業省と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が中心となって沖縄近海で海底から採掘・集鉱試験機を用いたパイロット試験を実施。海底熱水鉱床の開発に向けて大きな一歩。

神戸製鋼、三菱マテリアル子会社で品質不正発覚

 神戸製鋼所と三菱マテリアルグループは、品質データを書き換えた製品を出荷するなどの不正行為を発表。川崎博也・神鋼社長は10月、竹内章・三菱マテリアル社長は11月に記者会見した。

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