ティッセン・クルップのコークスプラント事業、日本子会社を閉鎖へ 新規受注、ドイツ社が直轄

 ドイツの鉄鋼・機械メーカー、ティッセン・クルップ(TK)は、コークスプラント事業を見直す。日本の完全子会社、ティッセンクルップ・オットー(本社・東京都港区)での事業活動を休止し閉鎖する方向で、日本での新規受注はドイツ本国の事業会社、TKウーデ(本社・ドルトムント市)で行っていく。

 TKは機械系3部門の一つであるインダストリアル・ソリューション事業でプラント関連を手掛けている。しかし同事業は2017年9月期決算で3600万ユーロ(約50億円)の営業赤字に転落。収益の立て直しが急務となり、同部門に属するウーデやオットーも戦略見直しの対象となっていた。

 その一環でTKオットーはバイオマスなど環境・エネルギーソリューション事業を3月にトーヨーエネルギーソリューション(本社・東京都中央区)へ売却。コークスプラント事業に専念してきたが、TKの決算期末に当たる今年9月をもって同事業の新規受注も停止した。

 TKオットーは最後の受注案件であるJFEスチール東日本製鉄所千葉地区の第6コークス炉B団改修工事が来年にも完了次第、閉鎖する方向。これにより、日本で製鉄所コークス炉本体のエンジニアリングを手掛けるのは自社内で完結する新日鉄住金とIHIとルクセンブルク企業のポールワースが折半出資するIHIポールワース(本社・東京都江東区)のみとなる。

 TKはウーデを通じて今後も日本でのコークス炉受注を目指していくが、言語や距離の壁が生じるのは避けられなさそうで、日本ミルのコークス炉戦略にも一定の影響が及ぶ可能性がある。

 TKオットーの源流は、1952年に西ドイツのコークスプラントエンジニアリング会社が川崎重工業や日本製鋼所と共同出資し設立した日本オットー。その後、阪本和也氏が株式を取得しオーナー企業となったが、11年に阪本社長が全株式を売却しTK傘下となっていた。

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