【三菱マテ子会社の不適合品出荷問題】〈会見要旨〉検査自動化プラン、来年度1Qまでに 三菱アルミ、JIS再検査も

 三菱マテリアルは28日、グループ会社による検査データ書き替え問題で、同社の竹内章社長、小野直樹副社長、三菱電線工業の高柳喜弘社長、三菱伸銅の堀和雅社長が記者会見した。主なやりとりは次の通り。

――三菱伸銅(伸銅社)、三菱電線工業(電線社)の不正をどう考えているか。親会社としての責任は。

竹内「不正行為にかなりの人間が関与しており、それも長期間にわたっていた。信頼回復のために、伸銅社は再発防止策の実施を進め、電線社では徹底した原因究明と再発防止策の策定を急ぐ。同時にグループの品質ガバナンス体制の再構築策の具体化と実行を実現したい」

――新たに発覚した不正は伸銅以外でもあったのか。

小野「電線社で一部サンプルの数を減らしていたものや、社内認定員資格を取得前の人間が認定作業に加わっていた事実が見つかった」

――グループの調査範囲はカバーできているのか?

小野「今回の事案を受けて伸銅社と電線社、三菱アルミニウム(アルミ社)では社内監査も実施した。電線社では尼崎事業所、伸銅社では三宝製作所で三菱マテリアルのチームによる特別監査を実施している。アルミ社は再発防止策の提出を受けているので、その実効性という点でいま特別監査を進めているところ。3社以外については書面調査と内部通報窓口の組み合わせでカバーした」

――再発防止策を実施すれば防げるか?

堀「調査報告に従って作成した。防止策をやり切れば同じ事態は二度と起こらないと確信している」

――電線社は社長が交代したが、伸銅社は。

堀「一日も早く安全性の確認と再発防止策の実行を進めることが私の責任だと考えている」

――なぜ電線社の村田前社長は辞任したのか。

竹内「村田前社長は不正行為の報告を受けたにも関わらず出荷を続けた責任がある。事実関係が解明された段階で適切な対応を検討したい。伸銅社は経営陣が現場の報告を受けてすぐに社長判断で出荷を停止し、親会社にも報告をした。適切な対応を取ったと考えている」

――アルミ社の事案は。

小野「アルミ社は顧客との解決事案で詳細の公表は控える。ただISO認証は一時停止になり、JIS認定期間の再審査も受けた。この結果はまだ出ていない。再発防止策については、三菱マテリアルの特別監査で再検討している」

――親会社が収益優先を押し付けたことが不正につながったのではないか?

竹内「それはない。グループ内の会議で利益よりも安全や法令重視を掲げてきた。品質面でも繰り返し発信してきた。予算は各社と協議の上で適正な水準を作ってきた」

――再発防止策の費用はどれほどみているか。

小野「検査の自動化は段階的に進める。来年度予算で優先的にやるものを示す。来年度1Qごろまでに、グループのどこから自動化するかというマスタープランをまとめたい。費用はその段階で見えてくるだろう。なお、電線社ではいち早く取り組みを進める。少なくとも1億円は投じるだろう」

――不正発覚後の受注状況は。

堀「こういう事態を起こしたにもかかわらず、受注は好調。現時点で大きな業績の変動はないとみている」

高柳「まだ顧客との話し合いが初期段階なので不透明。ただ一部顧客からは引き続きという話が出ている」

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