市教育文化会館大ホールが閉鎖へ 川崎

 半世紀にわたって歌謡ショーや吹奏楽コンクール、成人式などの会場として親しまれてきた川崎市教育文化会館(川崎区富士見)の大ホールが、来年3月末で閉鎖する。同館は「大ホールさよなら記念事業」と題し、コンサートや裏側見学ツアー、市民らが舞台に上がる企画を用意。担当者は「観客や出演者としての思い出が残るホールで、最後の別れを惜しんでほしい」と参加を呼び掛けている。

 同館は1967年に産業文化会館として設置され、88年の産業振興会館、市民ミュージアム設置に伴い機能を移転。1階の産業展示場跡にイベントホールや情報コーナー、4階の博物館・美術展示室跡に美術工芸室や学習室を整備し、90年に現在の名称に改めた。

 面積約1400平方メートル、定員1961人の大ホールは開館当初からあり、美空ひばりやピンク・レディーなど有名歌手のショーも行われたという。同館は「完成当時、関東近辺では大きいホールだった。市内在住の音楽家のコンサートなど、『音楽のまち・かわさき』の原形のような取り組みもしていた」と振り返る。

 95年のとどろきアリーナ(中原区)完成までは成人式の会場にもなっていた。近年は中学・高校の吹奏楽部の定期演奏会、合唱コンクールなどの学校行事にも活用されてきた。

 さよなら記念事業では、2月4日に同区内の中学・高校計5校の吹奏楽部などのコンサート(入場無料)を開催。2月23日と3月1日には大ホールの見学ツアー(1月18日から先着順で募集)を行う。3月24日には市民らがホールの舞台で歌やダンスを披露し、同25日には2種類のピアノを弾き比べできる企画(いずれも1月19日必着の往復はがきで受け付け、応募多数時は抽選)を予定している。最終日の3月31日は、計47組が出場するダンスコンテスト(入場無料)を行う。

 大ホール機能は今年10月にオープンした市スポーツ・文化総合センター(カルッツかわさき)に移転され、当面は会議室などの市民館機能が残る。2008年策定の計画では、市民館機能と庁舎の狭い区役所の複合化を図るとしていたが、区役所移転の緊急性が低下。市は計画を見直し、老朽化した建物を現在地で改築せず、近くにある労働会館を一部改修して機能移転させる方向で検討している。

 ホール見学ツアーと舞台出演イベントは市内在住者や市内活動団体が対象。記念事業に関する問い合わせは、教育文化会館電話044(233)6361。

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