高校生川柳

 そうか、誰かの気持ちを先回りすることをこう言うのか、だったらウチだって…と福岡の高校3年生が覚えたての流行語で一句。〈忖(そん)度(たく)し我が家の平和守られる〉。忖度してもらったのは父か、それとも母か▲学校生活、進路、友情、恋、スマホ…高校生たちの「5・7・5」が、ここ何年か年末の楽しみの一つになっている。福岡大学が主催する全国高校生川柳コンクールは今年で13回目▲この成績じゃあ厳しいぞ、しっかりやりなさいって家でも言うんですけど…目の前も隣を見ても渋い顔、孤立無援のあの時間。〈絶望の三者面談/二対一〉兵庫・高3。でも愛知の1年生は〈赤点は伸び代(しろ)たっぷり希望有り〉と極めてポジティブ▲〈投票に行こうと決めた誕生日〉は福岡、〈夏休み父に連れられ初選挙〉は愛知の3年生。新しい有権者たちが大人と子どもの真ん中から政治に目を凝らす▲入選に県内から2句。あんなに長かったのに…と純心女子高3年の上野夏鈴さんは、夏の反省と後悔を17音に込めて〈夏休み明日があるの繰り返し〉▲〈家離れ逆に増えたね親子の会話〉と聖和女子学院高1年の楠富日菜乃さん、家族への思いが字余りになってあふれた。年末年始は帰省で久しぶりに全員集合-食卓にはきっと、日菜乃さんの好物がたくさん並んでいる。(智)

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