部活動の在り方に学生提言 茅ケ崎市の政策コンテスト

 学生らが市の将来像を提言する「未来茅ケ崎市2017政策コンテスト」(同市など共催)で、大学生や専門学校生らでつくる学生団体が最優秀賞に輝いた。同団体が取り上げたのは部活動問題。中学校、高校で問題になっている部活動の長時間化や教員の過重負担が背景にあるとし、安全に楽しめる部活動のあり方を提起した。

 学生団体は、小児科医や医療専門職を目指す学生らでつくる「Summit For Children」(SFC)。子どもの貧困や児童虐待といった、子どもに関する問題解決に向けたネットワークづくりなどを目的に、2016年9月に発足した。現在は首都圏の大学や専門学校計20校の学生ら25人が活動している。

 11月の政策コンテストには、社会医学技術学院3年の早川優香さん(21)、関東学院大3年の徳舛恵里さん(21)、法政大1年の藤巻栞さん(19)の3人が出場。同市民でもあるSFC代表の早川さんは、部活動問題を取り上げた理由について「部活動中の重大事故はなくならず、長時間化で生徒も教員も休みが取れず、大きな負担となる『ブラック部活動』という言葉も聞くようになった。深刻な社会問題」と話す。

 15年の文部科学省による初調査によると、学校で起きた児童生徒の突然死や重い後遺症を伴う事故で、災害共済給付制度の対象となった558件のうち、部活動中の発生は189件(33・9%)で最多。運動部の活動中がほとんどだったことも判明している。

 こうした実態を受け、コンテストでは、生徒の安全を守るため、救命処置の資格を持つ人材を部活動の現場に配置することや、事故が発生した際に実態調査を行うことなどを提言。将来的には部活動から学校の枠を超えた地域のスポーツクラブに移行し、生徒は好きなスポーツを選んで2カ月ごとに競技を変えたり、継続したりできる仕組みも提唱した。

 3人はいずれも学生時代に退部を経験。中学、高校で陸上部に所属した早川さんは「精神、根性論が根強く、顧問の体罰なのではと疑う場面もあった。科学的根拠に沿った練習法を提案したこともあったが受け入れられず、強くなるために退部し、クラブチームを選んだ」と振り返る。

 エントリーした10チームの提案の中から最優秀賞に選ばれ、茅ケ崎市の服部信明市長も「全国的な社会問題を捉えている」と評価したという。SFCは毎月、勉強会を重ねており、理学療法士を目指す早川さんは「安心して、楽しく部活動を継続できる形を模索していきたい」と話している。

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