「長崎くんち見てほしい」イシグロ氏に招待状 コッコデショ関係者

 長崎市立山1丁目自治会長の井村啓造さん(71)は20日、ノーベル文学賞を受賞した同市出身の作家、カズオ・イシグロさんに、諏訪神社(上西山町)の秋の大祭「長崎くんち」に招待する手紙を送った。井村さんは、イシグロさんの来崎が実現し「長崎へ『夢のお年玉』となれば」と話す。

 井村さんは1936年に父親が出演した縁で、樺島町の「太鼓山(コッコデショ)」に68年から関わっている。同町が来年の踊町を務めることから、「2018年のくんちを『おすわさん』の桟敷から見てほしい」と伝えた。太鼓山には、福島第1原発事故の被災地である福島県川内村のヒノキを使用していることから、「もし見に来てくだされば、世界の平和にもつながっていくはず」と期待している。

 手紙には、ドイツ人医師、シーボルトが約200年前に、著書「日本」でコッコデショについて記述していることや、井村さんの友人でイシグロさんのいとこにあたる藤原新一さんに聞いた「イシグロさんの父はくんちが好きで、頼まれてDVDを送ったことがある」というエピソードをつづった。「樺島町太鼓山保存会」の協力もあり、同町の手拭いや「太鼓山」の字が入った扇子なども添え、20日に送付。イシグロさんの作品を扱う出版社を通じ、年明けにはイシグロさんへ届けられる予定。

 井村さんは、「市民の力でイシグロさんをもてなしたい」としている。

来年の長崎くんちに招待する旨の手紙をイシグロさんに送った井村さん=長崎市立山1丁目、長崎歴史文化博物館

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