則本が新記録、DeNA戦力外右腕は驚異の好投…楽天の2017年10大ニュース

楽天・梨田昌孝監督【写真:荒川祐史】

ウィーラー、ペゲーロ、アマダーの助っ人20発トリオは史上初

 梨田昌孝監督が就任2年目を迎えた2017年の楽天。スタートダッシュに成功し、序盤から首位を快走したが、夏場に急失速して首位から転落した。最終的には西武にもかわされて3位となったが、日本一になった2013年以来4年ぶりとなるAクラス入り。リーグ優勝への期待を抱かせながらも最後は悔しさが残った。ここでは楽天の2017年シーズンを10個のニュースで振り返ってみよう。

○則本8試合連続2桁奪三振

 大黒柱の則本昂大投手が、8試合連続2桁奪三振のプロ野球新記録を樹立した。4月19日の西武戦で8回10三振を奪うと、4月26日のロッテ戦(7回10三振)、5月3日のオリックス戦(9回途中12三振)、5月10日のロッテ戦(9回12三振)、5月17日の日本ハム戦(7回12三振)、5月25日のオリックス戦(8回10三振)、6月1日の巨人戦(8回12三振)、6月8日のDeNA戦(9回12三振)と約2か月も2桁奪三振を継続。1991年に野茂英雄(近鉄)が記録した6試合連続を塗り替え、メジャー記録の8試合連続に肩を並べる偉業だった。

○外国人20発トリオ

 夏場まで首位を走った楽天の快進撃は、助っ人勢の活躍を抜きには語れなかった。9月20日の日本ハム戦でジャフェット・アマダー内野手が20号本塁打を放ち、ゼラス・ウィーラー内野手、カルロス・ペゲーロ外野手に続いて20本塁打に到達。助っ人3選手が揃って20本塁打を放つ“助っ人20発トリオ”はプロ野球史上初の快挙だった。

○快進撃のち大失速

 今季の楽天は天国と地獄、両方を味わう形になった。1番茂木栄五郎、2番ペゲーロの超攻撃的打線が開幕から快進撃を続け、首位を快走。ソフトバンクとの抜きつ抜かれつのマッチレースを展開し、8月初旬まで首位に立っていたが、同15日から西武、ソフトバンクとの6連戦で6連敗を喫すると、今度は同23日のロッテ戦から1分けを挟んで10連敗。順位は急降下して、まさかの3位転落となった。

松井裕がNPB史上17人目の3者連続3球三振

○怪我人続出

 怪我人の続出が、大失速の一因にもなった。茂木が右肘痛で6月中旬にチームを離れると、7月に怪我人が続出。藤田が腰痛、ペゲーロが左太もも裏肉離れ、岡島が左肩関節唇損傷と立て続けにチームを離れると、守護神の松井裕まで左肩故障で離脱。今江も左腕を骨折した。茂木は7月末に復帰したが打撃の状態は上がらず、チームの勢いは失われていった。

○福山博之の大活躍

 楽天の躍進には、セットアッパーを務めた福山の働きも不可欠だった。開幕から勝利の方程式の一角に入った右腕は獅子奮迅の活躍を見せ、なんと開幕から7月11日ソフトバンク戦まで自責点なし、防御率0.00を継続。37試合目の登板となった7月20日の日本ハム戦でついに初自責点を記録した。2010年ドラフト6位で大商大からDeNAに入団した福山は、わずか2年で戦力外通告。再出発を図った楽天で開花し、2014年から4年連続60試合超に登板。今季は65試合6勝0敗7セーブ23ホールド、防御率1.06の好成績を残した。

○緊急先発・戸村が快投

 4月23日のソフトバンク戦で、岸孝之投手が試合開始直前に腰に違和感を訴えて、先発を緊急回避。試合開始15分前に代役を任されたのが、戸村健次投手だった。マッサージ中に突如先発を言い渡され、マウンドに上がった戸村だったが、期待以上の好投を披露。6回途中までソフトバンク打線を4安打無失点に抑え、今季初勝利をつかんだ。

○松井裕3者連続3球三振

 4月25日のロッテ戦(東京D)。4-2と2点リードで迎えた9回にマウンドに上がった松井裕樹は、細谷から3球で空振り三振を奪うと、続くダフィー、鈴木大地も空振り三振に。全て3球で3者連続三振を奪う離れ業を演じた。3者連続3球三振はプロ野球17人目(18度目)、パ・リーグでは6人目(7度目)の記録だった。

ドラフト9位高梨らルーキーが活躍

○則本、岸、美馬でCS3連敗

 3位で進んだクライマックスシリーズ。西武とのファーストステージで初戦を落とした後に連勝し、ファイナルステージに進出。ソフトバンクとのファイナルステージでも塩見、辛島が先発した1戦目、2戦目に連勝し、日本シリーズ進出を期待させたが、第3戦をエース則本で落とすと暗転。岸の第4戦、美馬の第5戦にも敗れ、まさかの3連敗で敗退した。

○ルーキーたちの奮闘

 今季の楽天はルーキーたちの活躍も目立った。シーズンを通して活躍したのは、ドラフト9位の高梨雄平投手。左サイドスローの高梨は対左打者キラーとして今季46試合に登板した。ドラフト5位の森原康平投手は開幕から1軍に入り、セットアッパーも務めた。フル回転した疲労の影響もあり、終盤に状態を落としたが、こちらも1年目で42試合に投げた。ドラフト4位の菅原秀投手も29試合に登板。ドラフト1位の藤平尚真投手は6月に1軍初登板を果たすと、2度の大型連敗を止める連敗ストッパーとなった。

○松井稼頭央退団

 アストロズから2011年に楽天入りした松井稼頭央。チームの精神的支柱として2013年には球団初の日本一に貢献した。今季はNPB通算200本塁打を達成したが、44試合出場に止まった。球団からコーチ就任を打診されたが、現役続行の意思を示して退団。来季は選手兼テクニカルコーチとして、15年ぶりに古巣の西武へ復帰することになった。

(Full-Count編集部)

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