オリーブを特産品に 小田原市が耕作放棄地対策

 小田原市は耕作放棄地対策として、オリーブの栽培を推進している。地元農家で研究会を立ち上げ、3年たった昨年は市内で初めて約100キロの実を収穫。オリーブオイルや「新漬け」(塩漬け)といった加工品の製造にもつなげた。関係者らはミカンや梅に負けない、小田原の新たな特産品に育て上げたい考えだ。

 同市農政課によると、市内の耕作放棄地は、農家の高齢化や担い手不足を理由に徐々に増え、2016年度の調査で約160ヘクタール。多くが市内で栽培が盛んなミカン畑で、農地全体の7%を占めている。

 そこで市がその対策として目を付けたのが、小田原の温暖な気候を生かしたオリーブの栽培だった。実が渋くて堅いオリーブは鳥獣被害を受けにくく、ミカン栽培より力作業を軽減できる。また健康志向で需要が高まっており、オイルなどの6次産業化で農家の所得向上も期待できる作目という。

 14年4月に50人の農家で「小田原オリーブ研究会」を設立。現在、市内の石橋、早川、久野、上町地区などの山間部で、50戸の農家が計約4ヘクタールの農地で計約1500本を栽培している。市も苗木の購入補助や専門家による指導、栽培講習会の開催などで側面支援。その結果、昨年は収穫量が大台に乗った。

 収穫した実は、オリーブ先進地・小豆島(香川県)の加工場などで試験的に採油したほか、二宮町の漬物業者が二宮、山北2町からの出荷分と合わせて、新漬けの「湘南オリーブ」として販売している。

 市の掲げる目標は「市内で5千本、20ヘクタールの栽培」。品質向上と収穫量増を達成するため、今後も栽培方法の研究を続けるとともに、周辺自治体と連携して小田原産のオリーブをPR。将来的には加工場の整備も目指す。

 同課は「海外産が主流の中、小田原生まれのオリーブを、安全安心で、プレミア感ある作物に育てたい」と意気込んでいる。

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