かつてサッカー界では選手たちには愛称や異名が付けられた。例えば、オーストリア代表MFアンドレアス・ヘルツォークは「アルプスのマラドーナ」、名古屋でもプレーしたドラガン・ストイコヴィッチであれば「ピクシー」といった具合にだ。
ところが、いつからかあまりこのような愛称や異名はあまりきかなくなってしまった。とはいえ、ニックネームが“絶滅”したわけではない。今でもこっそりとその地域のサポーターたちの間では呼ばれている名前もあるのだ。
ここでは、面白い異名を持つサッカー選手たちを紹介しよう。
セサル・アスピリクエタ
チェルシーでプレーするサイドバックの愛称は「デイヴ(Dave)」である。これはイングランド人にとってアスピリクエタという名前は発音しにくいことから読みやすい名前をということでついたあだ名となった。また、努力を怠らない姿勢からギャリー・ケイヒルは「ねずみ」と彼に愛称をつけている。
セバスティアン・ジョヴィンコ
165cmに満たない身長から「原子力の蟻(Formica Atomica)」のニックネームを持つ。その言葉が示す通り、小柄ながらそのプレーは爆発的。体格のハンデを補って余りあるテクニックは試合中随所に見られる。
MLSのトロントFCへ移ってからもその活躍はすさまじい。2015年以来代表チームでプレーしていないが、何故「イタリア代表に呼ばないのか?」とサポーターから待望論も巻き起こった。
ギャレス・ベイル
レアル・マドリーでクリスティアーノ・ロナウドらと共に「BBC」トリオを組むウェールズの至宝。トリオの名前のほうが有名になってしまったが、彼にもニックネームがある。
「ウェールズの大砲(El Cañón de Galés)」と呼ばれているのだ。スピード、ドリブルと共に高いキック力を誇りその破壊力抜群のプレー能力からついたと思われる。
ダヴィド・エンゴグ
リヴァプール、ボルトンなどでプレーしたストライカーを覚えているだろうか。フランスU-21代表歴があり将来を嘱望された彼も現在は28歳になり所属チームがない状態だ。
そんな彼がイングランド時代につけられたあだ名は「洗う(Wash、Wash'n'Go)」だ。これは、髪を洗う、洗車などの意味がある。どうやら当時のテレビCMにちなんだもので彼の髪型がそれにそっくりだったことが理由だそうだ。
アンヘル・ディ・マリア
パリ・サンジェルマンでプレーするディ・マリア。名前は天使、マリアと非常にキリスト教チックで可愛らしいものだが、愛称は「Fideo」である。
Fideoはスペイン語でNoodleのこと。つまるところ、麺である。『lavanguardia』紙は「2008年に歴史上最も高価な麺」と彼のことを評した。
クリスティアン・ベンテケ
長身で知られるベルギー代表ストライカーはあのロンドンにあるウェストミンスター宮殿に付属する時計台の大時鐘が愛称になっている。
そう「ビッグ・ベン(Big Ben)」と呼ばれているのだ。まんまといえばまんまだが、これ以上しっくりくるものもないだろう。
ポール・ポグバ
世界最高のMFとして名高いポール・ポグバ、彼にもニックネームがある。「Il Polpo Paul」、直訳するとポールはタコである。
名前は2010年ワールドカップで有名になった予想ダコとして名高いパウル(Paul)に由来する。彼とスペルが全く一緒であり足も長いそうしたことからついた名前なのだ。ちなみにタコというあだ名はスペイン語系では非常に多く、主にスキンヘッドの選手につけられている。
パウルブームも収束した今、「Pogboom」と呼ばれることのほうが多くなっている。予測不能なシュートなどそのプレーぶりが由来だといわれている。
フィリペ・コウチーニョ
「魔法使い」と呼ばれた選手は数多いが、2017年最も話題となった魔法使いはフィリペ・コウチーニョだろう。
ハリー・ポッターもびっくりの技術を持った選手で、かつてはその技術におぼれがちだったが、今や柔剛兼ね備えた選手としてバルセロナが熱望するビッグタレントとなった。
彼の愛称は「小さな魔法使い(Little Magician)」であるが、宝石にちなみ「パール」というものもある。
ルイス・スアレス
バルセロナでプレーするウルグアイ人ストライカーは現在もっとも多くのニックネームを持つ選手の一人でもある。
狡猾にゴールを狙う姿勢から「プレデター」「殺人鬼」、その名前から「ルチョ(Lucho)」などがある。
スペインではガンマンを意味する「El Pistolero」のニックネームで知られている。
このように現代サッカーでも有名・無名に限らず選手たちには愛称が多くつけられている。今回取り上げなかった選手の中にも面白いもの、かっこいいもの多岐にわたる愛称がある。いつかまた機会があれば紹介したい。