「一人でないこと知って」 ひきこもり女子会が全国を巡回 当事者向け冊子も制作

 引きこもりの経験者や、生きづらさを抱える女性のための当事者会「ひきこもりUX女子会」が、横浜をはじめ北海道から九州までの10カ所を回る「全国キャラバン」を行った。当事者向けに制作したブックレットも、発行から2カ月で増刷。社会から見えにくく、苦しんでいる女性の元に情報を浸透させている。

 全国キャラバンは、2017年9月から12月までの4カ月で札幌、名古屋、高松、福岡などを訪問。各地の支援団体などの協力も受けながら女子会を開いた。参加者は10代から50代、合計で400人を超えたという。女子会を主催する一般社団法人ひきこもりUX会議(横浜市)代表理事の林恭子さん(51)は「予想よりも参加者が多かった。当事者は孤立感などを抱えているが、地方は相談できるところも、自助会もない」と話す。

 参加者の年代で多かったのは30〜40代。目立ったのは、引きこもっている間に家族に介護が必要になり、その役目を担っているケースだという。

 当事者がグループに分かれて話すテーマトークでは、急きょ「介護」のテーブルをつくった会場もあった。「親をみとった後、外に出たことのない自分がどうすればいいか分からない、と話した人もいた」と林さん。引きこもっていても、介護をしていることで周囲からは問題ないと思われているが、「切羽詰まった孤立感が衝撃だった」という。

 全国キャラバンの開始と併せ、ブックレット「ひきこもり女子会」も発行した。

 女子会を通して見えてきたこと、参加者の声、精神科医の斎藤環さんのインタビューなどを収録。自分で女子会をつくりたい人のために、会場やプログラムをどうするかなど運営のためのポイントや、「2、3人でファミレスで集まるだけでも女子会になる」といったアドバイスも掲載している。林さんは「自分一人だけではないことを知ってほしい。読んで共感することで、心の重荷を下ろせる気持ちになれば。そして、いつか女子会にも来てほしい」と話す。

 現在、同会議では引きこもり女性らのアンケートを行っており、今年2月に結果を発表する予定だ。

 ブックレットは500円。同会議の販売サイト(https://uxkaigi.base.shop/)で取り扱っている。

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