「相模の寝姿観音」PR 新名所へ会社社長尽力

 「左側の小さな出っ張りが目と鼻、いったん下がってひときわ高くなったところが胸からお腹、右へ下がっていくと足です」−。相模原市緑区三ケ木地区から見た石老山(694メートル)周辺の稜線(りょうせん)を、横たわった観音様に見立てて「相模の寝姿観音」と名付け、新たな観光名所にしようと情報発信に力を入れる人がいる。同所で印刷会社秋本印刷を営む秋本敏明さん(65)。昨年、市の観光ガイドブック「あしたさがみはら」の付属地図に初めて写真入りで掲載され、取り組みにますます力を入れている。

 秋本さんによると、この稜線は昔から三ケ木地区住民に「寝観音」「涅槃(ねはん)山」などと呼ばれ親しまれてきたという。周辺は合併前の旧津久井町に当たるため、「『津久井の寝姿観音』と呼びたいところだが、広く相模原市の名所として『相模の寝姿観音』とした」と秋本さん。

 秋本さんが理事を務める津久井商工会が2017年5月に主催し市内外の参加者約30人が訪れた「菊芋植え付け農業体験会ツアー」では、参加者に相模の寝姿観音の絵はがきを小さな額に入れた「相模の寝姿観音開運額」を配ってアピール、好評を博した。地元の絵手紙教室グループが寝姿観音を題材にして絵手紙を書きに三ケ木を訪れるなど、徐々に認知度が高まってきている。ホームページやフェイスブックでの紹介も続けている。

 秋本さんは、寝姿観音だけでなく「丹沢の白馬」と「津久井城」を加えた三つのスポットの情報発信を20年以上続けている。「丹沢の白馬」は、丹沢の最高峰・蛭ケ岳(1673メートル)近くの鬼ケ岩から伸びる尾根に雪が積もったときに表れる白い馬の雪形、「津久井城」は津久井湖南岸の城山に築かれた山城。

 「旧津久井町が相模原市に合併して町名としての津久井はなくなってしまったが、津久井の誇れるスポットをアピールして広く知ってもらい、地域を訪れてほしい」と秋本さんは思いを込める。

 昨秋からは小田急線相模大野駅そばの商業施設ボーノ相模大野内にある市のアンテナショップsagamix(サガミックス)で、寝姿観音の絵はがきと開運額(いずれも税込み540円)の販売も始まった。寝姿観音の山並みの写真に、秋本さんの妻敦子さんの短歌「観音の寝姿ここに麗しく 相模の山に御身横たえ」を、地元の書道家藤井蘭秀さんが書き添えた作品になっている。

 「連絡をいただければ、会社近くの寝姿観音がよく見える場所に案内して解説します」と秋本さん。連絡先は秋本印刷電話042(784)0567。

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