国保評価に「未病」導入 市町村向け交付金で県

 国民健康保険(国保)の運営主体移管に絡み、県が市町村に配分する調整交付金の評価項目に、新たに「未病」の要件を加える方向で調整を進めていることが分かった。未病の認知度アップで医療費削減を図り、赤字が続く国保財政の改善につなげたい考えだ。国による奨励金制度の本格実施に合わせ、4月の運用開始を目指す。

 現在市町村が運営している国保事業は、4月から都道府県に移管される。調整交付金は人口規模や健康増進事業の取り組み状況などに応じて都道府県が市町村に配分する制度で、県は2005年度に導入。神奈川では総額1兆円規模の国保財政の9%分に当たり、約450億円とされる。

 このうち、約50億円分が市町村の取り組みに応じて配分する特別交付分で、保険料の収納率や健康診断受診率など24項目で評価する。それぞれの達成度に応じて点数化され、高得点の市町村に優先的に交付金が配分される仕組みだ。

 県は4月から、この評価項目に未病の改善に関する項目を新設したい考え。具体的には、未病センターの設置をはじめ、認知症や運動機能低下の予防教室開催などを想定している。

 同様の奨励金制度は、国も4月の本格導入を決めており、▽メタボリック症候群該当者の減少率▽後発医薬品(ジェネリック)の使用割合▽糖尿病重症化予防の取り組み状況−などに応じて財政支援が得られる。市町村の達成度を踏まえて都道府県への配分額が変わるため、健康増進の取り組み強化に向けた県の主導力が試される側面もある。

 県内の国保財政は総額350億円超の赤字(2016年度決算)で、30市町村が一般会計からの繰入金で収支均衡を図っている状況。高齢化率の伸びに伴い1人当たりの医療費も増加傾向にあり、安定運営に向けた財政の改善が求められている。

 県の未病普及策を巡っては、イベントなどでPRした市町村に対する補助制度も実施しており、17年度は21自治体がエントリーしている。

© 株式会社神奈川新聞社