AI研究拠点の形成検討 横浜市、京浜臨海部再編整備マスタープランを改定へ

 戦後の日本経済をけん引してきた京浜臨海部のブランド力を高めようと、横浜市は約20年ぶりに同臨海部再編整備マスタープランを改定する。市は国際競争力の強化に向けた土地利用の促進を目指し、人工知能(AI)など最先端技術の研究開発拠点形成を検討する。またJR鶴見線の機能強化に加え、地元住民から長年要望が出ている鶴見駅の中距離電車停車をJR側に引き続き求めるなど、土地利用の一体化を進めることで、同臨海部の魅力向上も図りたい考えだ。

 市都市整備局によると、同臨海部では直近約10年間で物流施設が12カ所建設され、エネルギー産業や製造業などからの土地利用転換が進む。研究開発機能についてもライフサイエンス分野など17施設が開設するなど産業の高度化が図られてきた。本年度末に改定予定のマスタープランは2030年をめどに設定。同市鶴見、神奈川区の末広地区や守屋・恵比須地区などを中心にAIやIot(モノのインターネット)など新産業の研究開発拠点を形成させ、企業誘致を進めたい考え。既存産業については研究開発との一体化など高付加価値化の進展を求める。

 鶴見線は朝夕の混雑解消や利用が少ない昼間の輸送力確保が課題となっており、利用者ニーズに合わせた運行計画の見直し調整などを進める。さらに相鉄・JR直通線の整備に合わせ、鶴見駅に中距離電車用のホーム増設も鉄道事業者に求めている。

 同臨海部は羽田空港と横浜都心部の間という好立地に面する。林文子市長は「今後も日本や世界をリードする技術革新を進める産業などの拠点として発展していくことを目指す」と話している。マスタープラン改定は有識者らによる審議会で協議されており、今月中にも素案をとりまとめる予定。

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