2018年 年男(2)

「貴重な経験を後進に」/飯島敦氏(新日鉄住金常務執行役員)/いいじまあつし

 「1年1年の積み重ねであっという間に時が経った。さまざまな先輩に鍛えられ今がある」と感謝。「還暦という実感はないが、貴重な経験を若い人につなげていく年齢になった」。

 旧新日本製鉄入社後、最初の配属は君津製鉄所のシステム部。「上司に〝人が作ったシステムに使われる社会人になるな〟と言われ、今も頭にこびりついている」。光製鉄所時代には萩を訪れ「吉田松陰に傾倒した。そこで触れた〝反求諸己〟が心に響いた」と。

 小学校からサッカーを続け今も高校時代の仲間と毎月フットサルを楽しむ。「11人の意思疎通とチームワークが大事。流れを読んで対処しなければ勝てない。心技体と知が求められるのは社会人生活でも一緒」と笑う。(昭和33年6月12日生)

「百折不撓で責務果たす」/川真一氏(JFEスチール常務執行役員大阪支社長)/かわしんいち

 「60歳は通過点。今年もやるべきことをしっかりやっていく。『去年今年貫く棒の如きもの』です」。

 4月に大阪支社長・満3年になる。西日本地区担当として「大阪から沖縄までJFEのプレゼンスをもっと高めていきたい。それが責務」と前を向く。

 1983年に旧NKKに入社。原価管理・人事・総括など管理部門20年、薄板や自動車鋼材など営業部門14年のキャリア。

 信条は「百折不撓」。体力作りで始めたジョギングは、フルマラソン出場にまで進化。「タイムはまだまだですが、いつかホノルルマラソンを完走したい」と夢を語る。サザンオールスターズを口ずさみながら、お孫さんと遊ぶのが癒しの時間。(昭和33年5月14日生)

還暦迎え「山岳魂」再び/石神隆志氏(愛知製鋼取締役常務執行役員)/いしがみたかし

 「学生時代に制覇できなかった北アルプス山系などを登る計画」と語る。高校・大学と山岳部で鳴らした魂が、還暦を迎えて戻ってきた。還暦の実感は「まったくない」というが、身体の衰えは「少しは感じますね」とも。

 設備保全のプロ。各部署に点在していた保全部門を「設備技術部」として統合した際には中心的な役割を果たした。そこから2013年に新天地「電磁品事業」に。今期から展開しているスマートカンパニーのプレジデントとして陣頭指揮する。「新しい事業を頓挫させることなく後輩につないでいきたい」と語気を強める。「自動車のパラダイムチェンジに向けて、取り組むべき課題は山のよう」とも。(昭和33年3月11日生)

会社と業界の〝創業〟に尽力/関山正氏(日建レンタコム会長)/せきやまただし

 1967年11月、裸一貫から日建リース工業を創業。仮設機材のリース・レンタルという新しいビジネスモデルを構築した。業界最大手として手掛けてきた機材の品質管理法や3次元CADシステムの開発などは、今や業界のスタンダードとして定着。現在は、グループ持株会社の会長としての重責を担う。

 業界では、軽仮設リース業協会会長を前身団体から現在まで43年間歴任。仮設機材の適正価格、安全、安定供給、高効率製品開発など業界秩序の維持・発展に尽力している。

 会社と業界双方の創業者。今後は「業界をけん引する後継者が早く出てきてほしい」と期待を寄せる。70年間続けている趣味の写真は、個展を開くほどの腕前だ。(昭和9年2月26日生)

成長して何度も〝年男〟に/大畑大輔氏(アイ・テック社長)/おおはただいすけ

 「12年前はまだ入社して日も浅く、見ること知ることすべてが新鮮だった。社長になったとはいえ年男としてはまだまだ弱輩者」

 2004年に入社。工場など現場勤務も経て07年に取締役、14年に副社長を経て15年に社長に就いた。「祖父(大畑榮一会長)や幼少期に遊んでもらった上司から仕事や経営を学んだ。今は会社全体のかじ取りを担う立場となり、トップとしての責任の重さをひしひしと感じている」。

 新年度には相馬工場(福島県)の開設も控え、会社としても新たな局面を迎える。忙しい合間を縫って旅行に出かけ、家族と過ごすのが何よりの楽しみという。「公私ともにしっかり成長し、年を重ねて何度も〝年男〟に登場したい」。(昭和57年2月3日生)

グローバル市場を意識/岸田成器氏(城南製鋼所社長)/きしだしげき

 「戸籍の年齢は変えられないが、肉体や精神の年齢はアンチエージングできる。これからも健康に留意し、今までお世話になった世の中に一つでも恩返ししていきたい」と抱負を語っている。

 1971年の入社以来ほぼ営業一筋で、2005年に59歳で社長に就任。社長として2回目の年男を迎えた。近年は主原料の鉄スクラップが国際商品化し、価格が右肩上がりの傾向を強めている。「鉄筋の売り方も時代に合わせて工夫していく必要がある」と販売形態の改善を課題に掲げる。

 南米やアフリカなど海外を訪れては「人がどんな住宅で暮らしているかを見て、鉄筋需要があるかを考えている」。人口拡大で世界の鉄筋需要はまだまだ旺盛。常にグローバルな市場を意識している。(昭和21年6月20日生)

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