新春市長インタビュー 「スピード感持ち公約実行」 新年度予算で具体策提示 横須賀市

上地市長が手にしているのは「ジャパンエキスポ・パリ2017」でパフォーマンスを披露した書道家の長谷川ひろみさん(平作在住)の書

 タウンニュース横須賀編集室では、2018年の年頭にあたり恒例の市長インタビューを行った。この中で上地克明市長は、「昨年6月の市長選で掲げた公約を着実に前に進めている」と話したほか、音楽・スポーツをツールとして活用し、地域活性を実現していく考えを明らかにした(聞き手は本紙編集長・安池裕之)。

緒に就いた357号延伸

 ──まずは昨年を振り返っていただきます。市内外の出来事で印象に残ることを聞かせてください。

 「大きなところでは、北朝鮮の問題。核実験と弾道ミサイルの発射など、我が国の平和を脅かす行為であり、強い憤りを覚えます。外交努力による早期の解決を望んでいます。市内の話題では、やはり市長選でしょう。衰退基調の地域経済、人口流出、政治の停滞と横須賀の現状を憂いていました。市議会議員としての活動にも限界も感じていた中で、周囲に押されて立候補を決意。当選させていただいてからはこれまでの人脈や経験を活かし、エネルギーを燃やし尽くす覚悟で『横須賀再生』に挑んでいます」

 ──市長職に就いて半年。目に見える成果として、国道357号延伸の再始動と、住友重機械工業から市に西浦賀の旧川間社宅跡地(浦賀奉行所跡)の寄贈がありました。

 「横須賀市の課題のひとつに国や県、主要機関との関係の途絶えがあり、まずはこれの再構築に注力しました。棚上げされていた357号の延伸は、国に夏島までの都市計画決定区間の早期着工の約束を取り付けることができました。3年後を目途にルートの全体像を示し、7年後には開通させたい。夏島以南については、米軍基地を経由して16号へ接続するルートも、国がネットワーク検討会を立ち上げて前に進める方向です。住重の旧社宅跡地も土地の譲渡が決まりました。トップ面談を通じて、浦賀ドック跡地を民間への売却も含めて活用を図る意向であることを確認。浦賀奉行所跡地の活用も含め、浦賀一帯の再生を行政としても積極的に関与して進めます」

 ──一方で自動車に「横須賀ナンバー」の導入を目指しましたが、反対意見が多くありました。 

 「残念でならない。横須賀の輝かしい時代を知っている身としては、『横浜のままでいい』というのは大変に意外な結果でした」

 ──アンケートでは30・40・50代の反対が目立ちました。横須賀に対するイメージの捉え方が世代間で異なるのかもしれません。

 「任期を通じて、誇りや愛着を持ってもらえるよう努力します」

「文化が閉塞感を打破する」

 ──横須賀市の人口は近く40万人を割り込む見通しです。前市長は都市イメージの発信強化で定住を促進させる施策を展開していました。上地市長の考えを聞かせてください。

 「人口流出の一要因として雇用のミスマッチを感じています。対策として、働く世代を中心とした職のマッチングなどに取り組んでいきます」

 ──社会保障費増大への対応として、福祉分野など約20億円の既存事業の見直し案が先ごろ示されました。

 「経常収支比率が今年度は100%を超えています。手を付けないわけにはいかないのが実情です。時代の変化によって、相対的な優先度が下がったものや、他に代替できるサービスがあるものなどを抽出しました。一例として、各地区社会福祉協議会が展開している安否確認を兼ねたお弁当の宅配があります。ボランティアスタッフの負担が大きくなりすぎていて、今のやり方のままでは継続が難しくなっています。高齢者の事業を切り捨てているような印象を持たれがちですが、より優先度の高い課題に対応するための財源ねん出であります。具体策は新年度予算で示していきます」

 ──新年度の予算編成では、”上地カラー”をどんな形で打ち出していくのでしょうか。

 「海洋都市・谷戸再生・エンタメ都市の『横須賀復活3構想』を具体化させます。谷戸でいえば、アーティスト村を立ち上げて芸術家たちに生活・活動の場としてもらいます。音楽については自らも前面に立って盛り上げていく考え。スポーツの分野では、ベイスターズファーム移転を契機とした追浜地区の街づくりを推し進めます」

 ──ウインドサーフィンW杯も継続開催が決まり、地域の活力をスポーツがけん引している印象です。

 「W杯の会場では、音楽を楽しむといった要素も新たなテーマに加えます。音楽やスポーツといった文化には、閉塞感を打ち破る力があります。これを地域活性のツールとして積極的に用います」

 ──最後に「誰もひとりにさせないまち」の言葉に込めた想いを聞かせてください。

 「行政の仕組みや支援はもちろんのこと、地域の協調と連帯、そして助け合いをプラスして、高齢者も育児で悩む人も若者も、みんなが支え合うまちの姿を言葉にしたものです。誰かがいつでも身近にいてくれることを感じられる社会の実現。これは長年の政治信条でもあります」
 

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