「わん」ダフルな一年に ペットと上手な付き合い方 横浜市泉区

スクールのスタッフと犬たち

 人と古来から人生を共にしてきた犬。12年に一度の戌年の2018年。今年はどんな一年になるだろう―。戌年にちなみ、区内にある「大島ドッグトレーニングスクール」で犬との上手な付き合い方を尋ねた。

 同スクールは1989年に設立され、2011年に上飯田町に移転。代表の大島かおりさん(54)と4人のスタッフが家庭で飼っている犬のしつけや災害現場に派遣する救助犬のトレーニングを行っている。鹿児島県生まれの大島さんは、18歳で訓練所で修業を始め、民間の警察犬訓練所を経て25歳で独立。95年の阪神淡路大震災で活躍する災害救助犬を知り、救助犬や警察犬などの訓練を始めた。現在も11年の東日本大震災や一昨年の熊本地震などにも出動している。

 災害現場で活躍する犬は国内でも増えつつあるというが、「日本ではまだ少ない」と話す。東日本大震災で出動した犬はわずか40頭。救助犬として活躍できるまで飼育が進んでいないことや、災害現場に犬が活躍できるという認知が低いという。「海外では探知に犬の嗅覚を使うというのは今や常識」という。

犬も家族責任持って

 さらに海外のペット事情に比較すると日本では「人格ならぬ『犬格』として認めてあげる意識が低い」と指摘する。「犬を家族として認めてあげることが必要ですが、なかなかできている人が少ない」と大島さん。犬が持っている知性や感情を理解し、能力を生かしてあげることで犬の人生も豊かなものになると話す。

 現在、犬は家庭でペット

として飼われているほか、災害現場に派遣される救助犬、警察犬、盲導犬、聴導犬、麻薬探知犬など公的機関で仕事をする犬もいる。さらに最近では高齢者施設などでもセラピー犬などが活躍している。

 犬にも「犬格」があることを前提に2歳児に接するようにしつけすることが大切。大島さんは「ブームに流されるのはよくない」と指摘。人間が都合よく交配したせいで病気を抱える犬も生まれてしまうことがある。「犬も大切な一つの命。人間の都合のままに飼うことはできない。責任を持って最後まで家族の一員として暮らす覚悟を」と話した。

若手の育成仕事犬の活躍

 現在、国際救助犬連盟の公認審査員として世界各国で行われる救助犬の試験に参加する大島さん。これからの目標は「トレーナーである若手を育てていくこと」。国内全体で救助犬や警察犬など、さまざまな現場で犬が人の役に立ちながら人生を全うできる世の中を作っていきたいという。

 大島さんは「犬に過酷な現場で仕事をさせることに反対する声もあるかもしれない。それでも人と犬が共に生きていける文化を作っていくことが大切だと思う」と力強く語った。

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