種まきから芽吹きへ 内野市長、特別インタビュー 海老名市

取材に応じる内野市長

 2018年の幕開けに際し、本紙では内野優市長に新春インタビューを実施。内野市長は昨年を振り返るとともに、重点事業など今年の抱負を語った。(聞き手/海老名編集室  横沢敦)

―昨年を振り返り、所感などをお聞かせ下さい。

 海老名駅西口開発が順調に進み、まちに活気が出てきました。メディアでは「住みたいまち」、「これから人気が出そうな郊外のまち」ランキング上位に取り上げられるなど海老名の魅力が名実ともに定着してきた1年だったと思います。

 年の後半には小田急電鉄が、新宿と海老名の沿線開発に重点的に取り組むと明言されました。駅間開発のタワーマンションも本格着工となり、今春のダイヤ改正では停車するロマンスカー増加や始発列車の増発など、海老名重視のダイヤになるようです。まさに、蒔いた種がいよいよ芽吹き出してきた1年でした。

―昨年力を注いだ市政運営の施策とその進捗状況について教えて下さい。

 一昨年に「HUGHUGえびな宣言」を行い、子育て世帯の応援に力を入れてきました。子どもの医療費助成の継続実施とともに、東柏ケ谷地区に東部子育て支援センターはぐはぐ広場SORA(そら)を開所し、身近な地域で親子同士の交流できる場ができたと大変喜ばれています。海老名駅西口開発も進んでいることから下今泉保育園の建て替えを実施し、定員を増やすことができました。

 また、若者に定住してもらおうと学生家賃補助や奨学金返還補助を実施しました。条件緩和など、より多くの若者に利用してもらえるよう工夫し、鉄道車内広告など様々な媒体を通じ呼び掛けています。

―海老名運動公園周辺地区の土地区画整理事業は現状いかがでしょうか。

 工業及び流通系の土地利用をする土地区画整理事業が、地権者の組合により進められています。昨年6月に造成工事がスタートして事業の早期完了を目指しているところです。市としても、この地区に優良な企業を呼び込むためにはスピーディーな対応と判断が必須と考えます。雇用の創出やまちの発展のため、今後も組合と連携して企業誘致を推進していきます。

―現在、市が抱える課題と解決策をお聞かせください。

 圏央道の開通により利便性の向上が図られた一方で、海老名インターへアクセスする周辺道路が朝晩を中心に慢性的に混雑しています。

「初心忘れず」

 その混雑解消を目的として(仮称)市道53号線バイパス道路の新設工事を進め、今春には開通します。これにより海老名インターへの主たるアクセス道路である都市計画道路河原口中新田線に集中する車の分散化、周辺地区に増加した物流関連の大型車両の回遊性を図ることによってインター周辺の渋滞問題は飛躍的に改善されると期待しています。

―今年度の重点事業について教えて下さい。

 今春に予定している市役所業務の再編成によって、現在中新田にある保健相談センター内に(仮称)こどもセンターを設置し、子どもに関連する業務を集約するように現在準備を進めています。これにより出産・子育て・学校教育を通じた、長期的な子どもへの支援体制を構築し、切れ目のない支援を実施していきます。

 また、県へ要望してきたさがみ野駅への交番設置の見通しが立ったことから、次は海老名駅西口に新たな安全安心ステーションを設置します。

 安全安心ステーションは現在設置しているさがみ野駅前において犯罪抑止効果を十分に発揮していることから、海老名駅西口に設置することによって、安全安心なまちづくりに大きく寄与することと思います。

 さらに、海老名駅東西一体のまちづくりのネックとなっている並木橋の改良工事にも着手します。現在も橋下には鉄道2線、橋上には車両と市民の方々が日々往来する重要な橋ですから、当然長期間通行止めにすることはできません。既存の橋を利用し、かつ鉄道の往来を止めずに施工するため5カ年かけての工事になります。この工事によって、並木橋が東西一体となるためのしっかりとした軸のひとつになるのと同時に安全安心な道路に生まれ変わると思います。

―今年度予算の見通しを教えて下さい。

 歳入は、海老名駅西口地区のまちづくりが実を結び、市税は固定資産税を中心に堅調に推移しています。一方、歳出については、待機児童対策の取り組みや障がい福祉の充実のための扶助費の増加が見込まれることから、各事業の適時適切な実施と見直しを行った上で、引き続き健全な財政運営に努めてまいります。

―最後に、今年の市長の抱負と読者へのメッセージをお願いします。

 年頭に当たって今年の言葉に『初心』を掲げました。日々の生活を繰り返す中では、目指す目的や目標を見失いがちです。常に原点に立ち返り、最初に思い立った時のまっすぐ純真な気持ちを忘れないことが大切である意味から、この言葉を選びました。私は現在、市長を務め4期目です。今期も2年が経過し、折り返しとなりました。言葉としてはシンプルですが、この1年『初心』を念頭におき、『住みたい 住み続けたいまち 海老名』の実現に向けての施策展開をしてまいります。

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