「新世代F1パワーユニット導入など誰も望んでいない」とルノー

 ルノー・スポール・レーシングのマネジングディレクターを務めるシリル・アビテブールによると、現在も2021年のF1エンジン様式について合意に到達するには程遠い状態であるという。新規則を導入することを望んでいる者は誰もいないと、彼は主張している。

 FIAとF1は、10月末に将来のエンジンについての草案を議題にあげ、これからの3年間で独立系マニュファクチャラーをF1に新規参入させることを目指し、より簡易で安価なパワーユニットの導入が提示された。

 新ルール案には、1.6リッターV6ハイブリッドの構造を保持しつつ、エンジンの最高回転数を3000rpm引き上げ、問題の多いMGU-Hを廃止、MGU-Kが強化されると記されていた。

 F1各チームは新提案に様々な反応を示した。フェラーリは明確に反対の意向を示し、メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフも警告を発した。

 ルノーは現状維持を主張する立場をとっている。エンジン面で最近なんらかの進展が見られたかと尋ねられたアビテブールは、最初の提案について大部分のチームの意見がいまも食い違ったままであると答えた。

「新しい展開は何もない。議論は継続中で意見は分かれたままだ」とアビテブールはAuto Hebdoに語った。

「現在のエンジンを改善する必要がある。いくつか課題はあるからね。音を大きくし、パフォーマンスを向上させたい」

「燃費、コンポーネントの走行距離、エンジンペナルティといったものによってポテンシャルを制限するのはやめよう」

「なによりも現在のエンジンを将来のエンジンの基礎として残してはどうだろう。2021年に大改革を行う必要はないし、誰もそんなことは望んでいないのだ」

 ルノーは2017年、MGU-Hが引き起こした信頼性の問題に苦しめられたが、アビテブールは、将来のエンジンからMGU-H技術を奪うのが良い考えだとは考えていない。

「現時点の状況を見れば、私にとってMGU-Hは好ましいものではないと言わざるを得ない」とアビテブールは11月に語っている。

「しかし2020年までに、我々は問題を収拾しているだろう」

「そうすれば、マニュファクチャラーと顧客チームにとってパワーユニットはより安価なものになるだろう。それなのに、新しいエンジンコンセプトではすべてがゼロからのやり直しになる」

「そしてまた正しい解決策を見つけるマニュファクチャラーと間違った解決策を選ぶマニュファクチャラーが出てきて、ふたつのグループに分かれてしまう。そうしたわけで、現行のコンセプトから逸脱する理由が私には見当たらないのだ」

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