カネミ油症検診始まる 五島・玉之浦、患者85人受診

 カネミ油症患者らの健康状態を調べる本年度の油症検診が11日、五島市玉之浦町であり、認定患者71人、未認定患者14人の計85人が受診した。未認定患者の認定診査も兼ねており、同町を皮切りに、11月ごろまで11府県で実施する。

 油症検診は全国油症治療研究班(事務局・九州大)から委託を受けた県が毎年実施。皮膚科や内科などの臨床検査をはじめ、油症の原因物質となるダイオキシン類の血中濃度、骨密度、血圧などを調べる。未認定患者については結果を基に総合的に判断し知事が油症認定の可否を通知する。

 ただ、新たに患者として認定されるには壁が高く、全国の被害者は診断基準見直しや、親と同様に症状に苦しむ次世代に限った基準の設置などを訴えている。

 この日受診した同町の未認定の男性(80)は「食べたのは間違いないし、吹き出物が出たり汗をかくと毛穴に膿(うみ)がたまったりして苦労したが、認定されない。食べたことを保証してくれる人もいるのに」とつぶやいた。

 県生活衛生課によると、昨年度は受診した県内在住の未認定患者65人中、5人を新たに認定。うち2人は2015年度までは「経過観察」で、3人は初めての受診だったといい、今後も広く受診を呼び掛ける。

 県内での油症検診は12日に五島市奈留保健センター(同市奈留町)、8月17日に県西彼保健所(長崎市滑石1丁目)でも実施。問い合わせは同課(電095・895・2364)。

(2017年07月12日掲載)

油症検診を受ける男性患者(左)=五島市

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