カネミ油症発生50年事業 台湾の被害者と交流へ 五島

 長崎県五島市の「カネミ油症事件発生50年事業実行委員会」(会長・下田守下関市立大名誉教授、8人)は27日、同事件から半世紀となる来年、市内で開くメインイベントに台湾油症の被害者らを招き、交流することなどを決めた。

 台湾油症は、1968年に発覚したカネミ油症事件から約10年後に台湾で発生。同様の原因で被害者は苦しんでいるが、救済制度などが日本と異なる。イベントでは、日本と台湾の被害者らで公的支援の在り方などを考えたいという。

 実行委は、市内で本年度最終会合を開き、意見を出し合った。50年事業は「つなぐ」がテーマで、来年11月か12月、市総合福祉保健センターでイベントを開催予定。事件の継承と被害経験を将来に生かすことを目指し、幅広い世代を対象に式典や、▽医療、福祉、介護▽油症被害者の体験談▽食の安全や化学物質、消費者意識▽教育-の4分野で分科会を開催する。

 今後、作業部会を立ち上げ、来年度に詳細を決定する。下田会長は「被害者が『被害者だ』と言える場所をつくり、他の人も自分に関係する問題だと理解できる機会にしたい」と話した。

(2017年09月28日掲載)

カネミ油症発生50年事業について意見交換する実行委員ら=五島市三尾野1丁目、市総合福祉保健センター

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