カネミ油症の教訓 将来へ 14日に兵庫で“キックオフ集会” 「同じ過ち二度と許さない」

 1968年に本県など西日本一帯で発覚したカネミ油症事件に関して、カネミ油症被害者支援センター(東京)などは14日、兵庫県高砂市で、油症への理解を深め被害の教訓を将来へつなぐ集会を開く。五島市の被害者も参加する。同センター事務局長の伊勢一郎さん(58)は「被害は2世、3世にも及んでいる。原点に戻り結束を強め、長期的視野で被害者救済や食の安全を考える“キックオフ集会”と位置付けたい」と話す。

 事件は北九州市のカネミ倉庫が米ぬか油を製造中、有害物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)や、これが変質したダイオキシン類が混入して発生。食べた人は内臓疾患など多種多様な症状を訴えた。2012年の救済法成立で支援金支給などが実現したが、汚染油を直接食べていない次世代の健康被害や支援拡充など今も課題が残っている。

 集会は14日午後1時半~4時、高砂市文化保健センターで開き、被害者の講話や討論などを実施。集会前にPCB汚染の土砂が固定処理されている高砂西港なども見学しながら、化学物質について考える。

 伊勢さんは「油症や被害を世論に訴え、同じ過ちを二度と許さない社会を目指したい。油症は忘れられていい問題ではない」と語る。

 集会は誰でも参加でき、資料代を含めて500円。問い合わせなどは伊勢さん(電090・9321・8607)。

(2017年10月12日掲載)

「カネミ油症は忘れられていい問題ではない」と語る伊勢さん=五島市三尾野1丁目、市総合福祉保健センター

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