営業現場、ITで支援 横浜銀、システム本格稼働

 業務効率化と顧客サービス向上の両立が金融機関の経営課題となる中、横浜銀行(横浜市西区)では1月から、営業店の渉外担当者向け支援システムが本格稼働する。膨大な書類の処理に追われ効率化が難しいとされてきた金融業界だが、ITを活用した営業現場の省力化を通じ、コンサルティング力の向上にもつなげる狙いだ。

 横浜銀は2016年に策定した中期経営計画に「強い現場」づくりに向け渉外の支援ツール充実を盛り込んだ。法人営業部の吉野由紀さんは「全国の銀行が効率化のシステムを取り入れ始めており、当行も準備を進めてきた」と話す。

 横浜銀はディスプレーを外してタブレット端末として使えるパソコンを17年10月ごろから順次、営業店の渉外担当者に配布し、同年末に1300台を配り終えた。端末には、複数の渉外支援ツールを搭載。その一つが、パスコ(東京都)が開発し、北陸銀行と共同で導入した地図基盤システムだ。地図上に顧客への訪問履歴が合わせて表示され、効率的な顧客訪問に役立てる。営業支援システムともリンクし、顧客ごとの預金情報を閲覧できる。

 営業担当者は人事異動があり、土地勘がない営業店への赴任もある。個人営業部の吉田稔さんは「顧客がどこに住んでいるかすぐに分かり、時間が余ったときなどの訪問先も簡単に探せる」と、利点を挙げる。

 一方、受取証・物件管理システムは1月15日から順次、本格稼働する。従来、顧客から通帳や現金などを預かる際、受取証という書類で管理してきた。しかし、手書きによる間違いの訂正が煩雑だった上、書類の管理にも時間を要していた。

 同システムは銀行のデータベースと連動しており、書き間違いを解消。データベースで一元管理するため、書類の確認などの作業も不要となり、営業担当者をはじめ事務処理をチェックする管理職の省力化につながる。川村健一頭取は「省力化で生まれたパワーを自分磨きに使い、コンサルティング力の向上につなげてほしい」と期待を込めた。

© 株式会社神奈川新聞社