新たな救済策必要 東京で被害者ら集会

 1968年、長崎県など西日本一帯で発生した食品公害「カネミ油症」の未認定患者や2、3世患者の救済などを考える集会が31日、東京都内であり、長崎県の患者らが油症被害の実態を訴えた。

 支援団体カネミ油症被害者支援センター主催。昨年6月、2004年以降の新認定患者らが原因企業のカネミ倉庫(北九州市)などに損害賠償を求めた訴訟で、最高裁で患者側の敗訴が確定。法的救済の道が閉ざされる中、被害者救済法の見直しなど課題解決の方向性を探るのが狙い。

 支援者や被害者ら約30人が参加。五島市の男性患者は「救済法ができても救われていない被害者はたくさんいる。新たな政治判断が必要だ」と指摘。別の同市の患者は「弟は(油症の母親から生まれ、皮膚が色素沈着した)『黒い赤ちゃん』。子や孫たちに健康被害が出たら誰が助けてくれるのか」と不安を訴えた。

 油症の原因物質となったポリ塩化ビフェニール(PCB)を製造したカネカ(大阪市)の道義的責任もあらためて検証・追及すべきだとの意見も出た。

(2016年6月1日掲載)

長崎県の患者らが油症被害の実態を訴えた集会=東京都豊島区

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