「野球少年のけが防げ」ハマの番長も講師に

 野球を楽しむ小学生の故障を予防し、競技人口減少に歯止めをかけようと、県内の整形外科医や慶応高前監督の上田誠さんらが「神奈川学童野球指導者セミナー」を立ち上げた。21日にはプロ野球・横浜DeNAベイスターズ元投手の三浦大輔さんをゲストに、横浜市港北区の慶大日吉キャンパスで初の講習会を行う。

 全国の小中学生の野球人口は、2007年の66万3560人から16年には48万9648人へ、わずか10年間で4分の1以上も減少した。同時期にサッカーは3万人強増えて54万9962人となり、完全に逆転。神奈川でも10年前には学童野球に2千チームが存在していたが、現在は800程度にまで激減している。

 ジュニア年代の競技人口の落ち込みにはさまざまな要因が考えられるが、1チーム当たりの人数が減った結果、練習や試合での一人一人の負担も重くなり、肩や肘を酷使する子が増えるという悪循環に陥るケースもあるという。

 県少年野球連盟学童部や横浜市医師会などは「横浜野球肘検診推進協議会」を立ち上げ、冬季に500円で小学生らの肘を診察してきた。しかし、受診者は選手全体の2割程度と伸び悩むのが現状だ。

 セミナーを立ち上げた一人の上田さんは、「体ができていない小中学生は特に、肩や肘は痛くなったら病院へではなく、指導者が障害を理解して予防に努めないと」と危惧する。

 活動には横浜高の渡辺元智前監督らが世話人として名を連ねる。キックオフイベントとなる講習会では、横浜南共済病院のスポーツ整形外科部長で、ベイスターズのチームドクターを兼ねる山崎哲也医師らが小学生の故障予防の現状について話すほか、「ハマの番長」こと三浦さんによる講演も行われる。

 同団体は講習会のほか、登録した指導者には無料で医師に相談できる環境を整えるなど、活動の普及に努める。

 上田さんは「私も選手をつぶしたことがある。だからこそ痛めない投げ方や練習、投球制限、故障の予防がいかに大切かが分かる。指導者同士が手を取り合って環境を良くすることが、次代の野球を守ることにつながる。野球王国の神奈川から全国に広めていきたい」と期待を込める。

 講習会は午前10時〜午後2時。参加費2千円。申し込みは同セミナーホームページから。

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