無病息災願って流鏑馬神事 川崎

 川崎市麻生区の高石神社で8日、流鏑馬(やぶさめ)神事が執り行われ、境内は近隣から訪れた参拝客らでにぎわった。この地域で江戸時代から続く伝統行事で、高石神社流鏑馬保存会が伝承している。

 同神社では馬を用いず地面に立って弓を射る「歩射(ぶしゃ)」で行い、一般の参拝客も弓を引くことができる。見事に的中するとその年は無病息災になるという。

 まず宮司が鬼門とその反対側の上方に向けて矢を1本ずつ放った後、3本目で的を狙った。裃(かみしも)姿の保存会メンバーら約20人に続き、200人以上の参拝客も弓を握った。

 つるしたむしろの中心にかけた直径35センチの的に命中すると、会場から拍手が起きた。まっすぐ矢を放つのも難しいだけに、的中した参拝客の一人は「やったぞ。今年も良い年だ」と大喜びだった。

 1メートル以上の大きさになる弓は、ガマズミの木を切り出し、保存会で毎年手作りしている。保存会の横山孝昭会長(69)は「この地域に伝わる伝統行事を広く知ってもらいながら、これからも大切に守っていきたい」と話していた。

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