消えゆく生物を知る 地球博物館でレッドデータ展 小田原市

国際版、日本版など各種を展示

 神奈川県立生命の星・地球博物館(入生田)の1階特別室では現在、企画展「レッドデータの生物〜知って守ろう神奈川の生き物たち〜」が開催されている。

 レッドデータとは、絶滅のおそれがある種についてまとめたもので、絶滅危険度によってランク分けされている。1966年に国際自然保護連合が初めて作成したものが赤い表紙だったことから、その名がついた。日本でも89年に発刊、その後地方版制作の機運が高まり、95年に全国に先駆け神奈川県版の初版が発刊された。

 入口を抜けると、野生絶滅したトキの剥製が出迎える=写真。戦前丹沢山地で採集されたもので、かつて神奈川県にもトキが生息していたことを裏付ける貴重な資料だ。展示ではこうした標本など163種231点を用いて、県内の危機に瀕する生物を植物・鳥類・哺乳類など種類ごとに紹介している。生息数が減る要因は自然林の伐採や干潟・海岸等の土地改変、外来生物の増加などさまざまだが「人間が環境や生態系に与えてきた影響という点で共通する」と鈴木聡学芸員(35)は訴える。今回の展示は、今年度動き出した県の改訂版発行に向け企画されたもので、鈴木さんは「無関心が一番よくない。身近なところで絶滅の危機に直面している生物がいること、その背景をまずは知ってほしい」と話している。

 企画展は2月25日(日)まで。午前9時〜午後4時半(入館〜4時)、観覧無料。また会場横では、県産業技術短期大学校の学内コンペで選ばれた植松美月さんのポスターと全出品作も展示されている。問い合わせは同館【電話】0465・21・1515へ。

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