ユニバーサル製缶、ボトル缶3割増産 岐阜に新鋭ライン、異形缶にも対応

 三菱マテリアルグループのユニバーサル製缶(本社・東京都文京区、社長・内藤英一氏)はアルミボトル缶の生産能力を増強する。富士小山工場(静岡県駿東郡)の缶蓋(キャップ)ラインを増強したほか、岐阜工場(岐阜県美濃加茂市)に年産4億缶規模のボトル缶胴ライン新設に踏み切る。コーヒー向けを中心に市場拡大が期待されるボトル缶の生産能力を引き上げるだけでなく、異形缶にも対応できる製缶ラインを導入することで新規需要の開拓を進める。

 ユニバーサル製缶は結城工場(茨城県結城市)、岡山工場(岡山県岡山市)にボトル缶胴ラインを保有しており、年産能力は14億缶。ボトル缶市場をめぐっては、この数年間でコーヒー缶のボトル缶化が進展して需要が拡大。ユニバーサル製缶も16年に結城工場で生産能力を増強したほか、競合他社も新ラインの増設やボトル缶市場への参入を進めている。こうした中で技術的な優位性を生かすためには新規のラインが不可欠と判断。中日本エリアに位置する岐阜工場にラインを新設し、結城工場、岡山工場との3拠点体制による供給体制を構築することを決めた。

 岐阜工場に新設するのは、年産能力4億缶対応の最新鋭ライン。ユニバーサル製缶の標準的な38口径の410ミリリットル、310ミリリットル缶に加えて、「昨今は容量や形状などで独自性のあるボトル缶(異形缶)を求める声が高まっている」(内藤英一社長)ことから異形缶にも対応が可能なラインとなっている。

 新ラインは、倉庫として利用している建屋で設置作業を進め18年度下期の完工と19年度からの出荷を目指す。新ラインの完成により生産能力は3割増の年18億缶に引き上がる。量産当初は年間2億缶規模でスタート予定となっているが、需要動向を見極めながら早期の年間4億缶を目指していく。

 缶胴の能力増強に合わせて富士小山工場の缶蓋(キャップ)ラインの能力も増強した。すでに新ラインの立ち上げは完了しており、ユーザーの認証作業を経て18年からの出荷を目指している。

 競合他社も能力増強を進めているボトル缶マーケット。内藤社長は「技術的な優位性が発揮できる分野だと確信している。これまで対応が難しかった異形缶の技術開発も加速させながら市場開拓を進める」と説明。また新ライン増設は「生産能力的な面だけでなく、若手技術者に設備の立ち上げを経験させることができるチャンス。技術と技能を再確認し、全社プロジェクトとして進めていく」(同)とした。

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