防災・都市整備に注力 石本区長、2018年を語る 川崎市多摩区

新年を迎えるにあたり、展望を語る石本区長

 本紙では昨年4月に就任した多摩区の石本孝弘区長(58)に、恒例の新春インタビューを行った。石本区長は災害に強いまちづくりや、地域包括ケアシステムの推進など柱の事業を掲げ、「住んでみたい、住み続けたい多摩区」の実現に向けて抱負を語った。(聞き手/本紙・地主豊)

 ―昨年を振り返り、特に力を入れてきた取り組みについて総括してください。

 「多摩区は土砂災害警戒区域が179カ所と多く、全市763カ所の約24パーセントを占めています。区の計画でも『災害に強く安全で安心できるまちづくりの推進』を柱の一つに掲げ、地域防災力の向上に力を注いでいるところです。

 昨年11月には、区の総合防災訓練を生田中学校で初めて行いました。安否確認訓練や校内での避難所開設、ペット同行、トイレ設置の訓練のほか16の体験ブースを設け、参加者約500人を集めました。防災に関するミッションを時間内にクリアする体感型アトラクションでは、中学生にも参加してもらうなど、幅広い世代の啓発につながったと実感しています。

 2月には中野島小学校で2回目を行う予定です。平日の授業時間中の災害発生を想定した訓練で、地域の学校と住民、行政のスムーズな連携を目指します」

地域特性に着目

 ―川崎市が地域包括ケアシステムに総力で取り組んでいますが、多摩区の進ちょくはいかがでしょうか。

 「川崎市は昨年4月に人口150万人を突破しましたが、5月発表の人口推計によると、多摩区は人口のピークを2020年に迎えるとされています。市内では最も早く人口減少が訪れ、高齢化率の上昇も早い見通しです。

 多摩区でも地域包括ケアシステムの推進に向け、区内を菅と中野島、登戸、稲田、生田の5地区に分け、各々の特性を生かしながら支え合いの地域づくりに取り組んでいます。

 生田地区では9月と11月、助け合いについて考える『ご近所パワーアップ会議』を開催し、町会や自治会の方に参加いただきました。坂道の多い西生田の町会では昨年度にベンチ設置を実現しましたが、このような地域主体の事例やアイデアを共有する機会になったと考えています」

 ―市まちづくり局や登戸区画整理事務所長などご自身の経験を踏まえ、区の施策をお聞かせください。

 「1988年に始まり、長期化している登戸区画整理事業は、早期完了を目指して2013年に整備プログラムを策定しました。事業期間を2026年まで10年間延ばし、各年度に沿った整備イメージを定めています。区域ごとに全ての建物を同時移転する『集団移転工法』を活用し、ライフラインや道路の整備を進めていますが、買い物が楽しめるにぎわいある駅前になるよう期待しています。

 また、市の都市計画マスタープラン全体構想が昨年3月に改定されましたが、来年度末の多摩区構想改定に向け、作業が進行中です。昨年9月にワークショップを行い、11月には意見発表の場を麻生区と合同で設け、地域課題について多くの意見をいただきました」

 ―最後に、区民へのメッセージをお願いします。

 「今後も『住んでみたい』『住み続けたい』と実感できるまちづくりを、地域の皆さんと一緒に考え、職員一丸で課題解決に向けて取り組んでいきます。意見などがありましたら、ぜひ声をお寄せください」

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