「原発即ゼロ法案」発表 小泉元首相ら

 脱原発運動に取り組む小泉純一郎元首相が顧問を務める民間団体は10日、原発の即時停止や自然エネルギーの推進を掲げた「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」(骨子案)を発表した。国会内で記者会見した小泉元首相は「国民多数の賛同を得て必ず原発ゼロは実現する」と強調した。

 民間団体は「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(会長・吉原毅城南信用金庫顧問)。

 会見で小泉元首相は「安倍首相にも原発ゼロを勧めてきたが、安倍政権での実現は難しいのではと思ってきた」と指摘。「国民の声を受け止める首相が出現すれば、原発ゼロは実現できる。各議員もいずれ、この問題の重大さに気付く」と期待した。与野党に法案への支持を呼び掛け、今月召集の通常国会に超党派での法案提出を目指しており、「国会でどういう議論になるか、関心を持って見守りたい」と語った。

 吉原会長は「わが国のエネルギー構造の転換を実現したい」と訴えた。会見には細川護煕元首相も出席した。

 法案では▽運転中の原発は即時停止し、停止中の原発は今後一切、稼働させない▽原発の新増設を認めない▽具体的な廃炉計画を策定▽自然エネルギーを最大限かつ可及的速やかに導入する−ことなどを基本方針に掲げた。実現に向け、法制や税制、金融上の措置を講じることを国の責務とし、自主的に原発廃止に取り組むことを電力事業者の責務と位置づけている。

 基本的な理念を明らかにし、自然エネルギーへの全面転換に向けた推進体制を定めることが狙いで、罰則などは設けていない。

 同連盟は会見後、原発ゼロ政策の実現を訴える立憲民主党との対話集会を開催。党エネルギー調査会の阿部知子氏(衆院12区)や中谷一馬氏(衆院比例南関東)らと意見交換した。

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