14日告示・松浦市長選 直前情勢 友田氏の無投票初当選か

 任期満了に伴う長崎県松浦市長選の告示が14日に迫った。3期目の友広郁洋市長(75)は不出馬を表明。友田吉泰氏(53)が県議からのくら替えを目指し、ほかに動きは見られない。無投票が濃厚なだけに、市民の関心はもっぱら市議選や県議補選松浦市区に向いているようだが、新たな地元のかじ取り役を政策論争抜きに決めていいのかと心配する声も上がっている。

 10日夕、松浦市内であった友田氏の決起集会には約150人が集まった。高揚感はなかったが、友田氏は「今ある伸びしろを生かし、新しい松浦をつくりたい。お力添えを」と力強く支持を呼び掛けた。

 後援会幹部はこう言い切る。「選挙戦になっても友田は負けない」。その自信を裏付けるかのように、集会には友広市長や国会議員、市議の半数以上が顔をそろえ、“盤石の態勢”をうかがわせた。

 友広市長が4選を目指さないと表明したのは昨年11月上旬。任期満了まで3カ月を切っていた。

 だが友田氏はこれを見越して水面下で準備を進め、秋には地元国会議員らへのあいさつを済ませ、現職の不出馬表明から間を置かずに名乗りを上げた。市議や県議だった頃は民主党(現民進党)に所属していたが、近年は無所属で活動。今回は保守層への浸透を一層図るため、自民党県連の推薦を取り付けた。市議の一人は「これで友田氏に正面から挑める人はいなくなった」と分析する。

 それでも友田氏は、企業の仕事始め式や成人式、消防出初め式に精力的に顔を出し、気の緩みを見せない。

 一方で、市議選も14日に告示され、友田氏の辞職に伴う県議補選(26日告示)が続く。どちらも激戦が見込まれ、市民や関係者らの関心は、対抗馬擁立の動きがない市長選から離れているのが実情だ。

 ある市議は「誰もかなわない候補だからといって、政策論争抜きに白紙委任していい、ということではない」と強調する。同市志佐町に住む自営業男性(60)はこう嘆く。「市長選は、有権者がふるさとを見つめ直し、候補者の政策に意思表示できるチャンス。選挙がなければ、政治への無関心がますます広がってしまいそうだ」

市民に支持を呼び掛ける友田氏=松浦市志佐町、市文化会館

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