田中貴金属、高品質金蒸着材を開発 半導体、医療機器向けなど拡販

 TANAKAホールディングスは10日、製造子会社の田中貴金属工業が新たに開発した高品質金蒸着材「SJeva」のサンプル提供を開始したと発表した。従来品と比べ高純度なため、使用量の低減、工程削減による生産性向上やコスト削減、回収リサイクル性を高めることができる。半導体分野での微細配線、MEMSやオプティカルデバイス(光デバイス)、LED、医療機器などでの拡販を図る。

 同蒸着材は、製造工法の改善により、蒸着材中に存在する酸化物や硫化物などの非金属介在物の低減を実現した。同社は純度99・99%~99・999%の金蒸着材を従来からそろえているが、同蒸着材はさらに高品位の製品となる。

 非金属介在物が極めて少ない蒸着材は、蒸着材溶解時に表層に凝集する汚れ成分が減少するため、クリーニング工程を削減できる。また、高純度蒸着材は成膜前のプレヒート時間が短縮可能なため、成膜に寄与しない蒸着材の消費を抑えることができ、コスト削減が可能。

 また、同蒸着材はガス成分の含有量が少ないため、成膜時に蒸着源から発生する「スプラッシュ現象」と呼ばれるパーティクルやピンホールなどの欠陥を抑制し、高レート蒸着を行った際にも基板上のパーティクル付着数を低減できる。

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