過去10年で検証 新人王選手に「2年目ジンクス」はあるのか?

西武・源田壮亮と中日・京田陽太【写真:上岡真里江、荒川祐史】

果たして西武源田、中日京田は? 新人王に「2年目ジンクス」はあるのか

 1月も半ば。2月には春季キャンプが始まり、新しいシーズンがスタートする。毎年、この時期に話題になるのが「2年目のジンクス」だ。新人で活躍した選手の多くが、2年目には成績が下落すると言われるが、これは本当だろうか。

 過去10年の新人王の2年目の成績を調べてみた。まずはパ・リーグ。年数は新人王を受賞した時点での在籍年数。

〇2007年 田中将大1年 (楽)11勝7敗0S 0H 防御率3.82
→9勝7敗1S 0H 防御率3.49
〇2008年 小松聖2年 (オ)15勝3敗0S 3H 防御率2.51
→1勝9敗0S 0H 防御率7.09
〇2009年 攝津正1年 (ソ)5勝2敗0S 34H 防御率1.47
→4勝3敗1S 38H 防御率2.30
〇2010年 榊原諒2年 (日)10勝1敗0S 6H 防御率2.63
→1勝3敗0S 23H 防御率1.66
〇2011年 牧田和久1年 (西)5勝7敗22S 1H 防御率2.61
→13勝9敗0S 0H 防御率2.43
〇2012年 益田直也1年 (ロ)2勝2敗1S 41H 防御率1.67
→2勝6敗33S 9H 防御率2.76
〇2013年 則本昂大1年 (楽)15勝8敗0S 0H 防御率3.34
→14勝10敗0S 0H 防御率3.02
〇2014年 石川歩1年 (ロ)10勝8敗0S 0H 防御率3.43
→12勝12敗0S 0H 防御率3.27
〇2015年 有原航平1年 (日)8勝6敗0S 0H 防御率4.79
→11勝9敗0S 0H 防御率2.94
〇2016年 高梨裕稔3年 (日)10勝2敗0S 1H 防御率2.38
→7勝7敗0S 1H 防御率3.68
〇2017年 源田壮亮1年 (西)155安 3本 57点 37盗 打率.270
→?

 甲子園を沸かせた田中将大は1年目11勝を挙げたが、2年目は9勝。少し落ち込んだ。しかし、新人王で2年目に大きく成績を落とした選手は、2008年の小松聖だけだ。

 小松はJR九州から入団して2年目に15勝を挙げ、新人王を獲得したが、翌年、1勝9敗と大きく落ち込む。2016年限りで引退したが、新人王の年がキャリアハイになった。

 2010年の榊原諒も2年目に10勝を挙げて新人王になった。翌年はセットアッパーに転向して23ホールドを挙げたが、以後、勝ち星はなく2015年限りで引退した。彼も新人王の年がキャリアハイになった。

 しかし、他の投手は、成績も大きく下落せず、それぞれリーグを代表する投手になっている。過去10年では、野手の新人王は昨年の源田だけ。それ以前は1998年の西武の先輩・小関竜也までさかのぼるが、小関も成績を大きくは落としていない。2002年にはベストナインに選ばれている。

セの新人王2年目は?

 それではセ・リーグはどうだろうか?

〇2007年 上園啓史1年 (神)8勝5敗0S 0H 防御率2.42
→4勝0敗0S 0H 防御率3.14
〇2008年 山口鉄也3年 (巨)11勝2敗2S 23H 防御率2.32
→9勝1敗4S 35H 防御率1.27
〇2009年 松本哲也3年 (巨)109安 0本 15点 16盗 打率.293
→91安 0本 22点 17盗 打率.287
〇2010年 長野久義1年 (巨)124安19本 52点 12盗 打率.288
→164安17本 69点 19盗 打率.316
〇2011年 澤村拓一1年 (巨)11勝11敗0S 0H 防御率2.03
→10勝10敗0S 0H 防御率2.86
〇2012年 野村祐輔1年 (広)9勝11敗0S 0H 防御率1.98
→12勝6敗0S 0H 防御率3.74
〇2013年 小川泰弘1年 (ヤ)16勝4敗0S 0H 防御率2.93
→9勝6敗0S 0H 防御率3.66
〇2014年 大瀬良大地1年 (広)10勝8敗0S 0H 防御率4.05
→3勝8敗2S 20H 防御率3.13
〇2015年 山崎康晃1年 (De) 2勝4敗37S 7H 防御率1.92
→2勝5敗33S 7H 防御率3.59
〇2016年 高山俊1年 (神)136安8本 65点 5盗 打率.275
→82安6本 24点 6盗 打率.250
〇2017年 京田陽太1年 (中)149安 4本 36点 23盗 打率.264
→?

 2年目に大きく落ち込んだのは、2007年の上園啓史。4勝0敗だったが9試合しか登板できなかった。上園も新人王の年がキャリアハイになり、2015年限りで退団した。
2009年の松本哲也は、2008年の山口鉄也に続き、育成枠から這い上がって新人王になり話題となった。翌年も94試合に出場し91安打を打ったが、以後、出場機会は減少。2017年限りで引退した。彼も新人王の年がキャリアハイになった。

 しかし他の選手は「2年目のジンクス」に苦しんだ形跡はない。先発から救援に転向するなど、ポジションが変わった選手はいるが、いずれも主力選手として活躍している。

 こうしてみると、新人王に限っては「2年目のジンクス」は、例外的だと言えよう。言い換えれば「2年目」を乗り越えられないと、その選手は主力選手になれないということだ。つまり、2年目の成績が重要。西武の源田壮亮、中日の京田陽太の2年目は、どうなるだろうか。

(Full-Count編集部)

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