《竹橋》熊谷守一展 目に見えるものの背後にある秩序とらえる

 シンプルな色彩と赤茶色の輪郭線で構成した油彩画。虫や草花を描いたヘタウマのような絵画は、一度見たら忘れられない。独創的な油彩を制作した洋画家、熊谷守一の没後40年を記念した展覧会が東京国立近代美術館(東京都千代田区)で開かれている。熊谷を主人公にした映画も5月から公開予定。ますます注目が集まりそうだ。(渋沢和彦)

 ユーモラスで見ていると幸せな気分になる。のんびりとうたた寝をする「猫」や華やかに咲く花、その足元でうごめくカタツムリを描写した「ハルシヤ菊」。生きる喜びと、小さな生き物を見守る優しいまなざしを感じる。ほのぼのとしていて平和だ。

「ハルシヤ菊」1954年 愛知県美術館 木村定三コレクション

 そんな朗らかな作品で知られる熊谷だが、20代は「光と影」をテーマにアカデミックで暗く重厚な作品を制作していた。代表作「蝋燭(ローソク)」は、画面全体が闇に包まれ、わずかに人の顔が見えるだけだ。

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