銀色の輝き

 昨日の雪と、きょうの雪。長崎では久しぶりの銀世界、ご愛用の日記には何と記されるのだろう、と窓の外を眺めながら考えた。長崎市の佐伯志保さんは85歳。3日付の読者随筆「えぷろん」新春特集に投稿いただいた「5年日記」にムムムとうなった▲2016年に5年日記を購入されたそうだ。〈…5年も元気で書くことができるかなと思いながら3年目に入っている〉-。16年は熊本の地震に「初めての経験」とびっくり。17年は出島の表門橋もしっかり見物に出掛けた▲子どもさんやお孫さんへの思いが軽やかにつづられている。間違いなく前年のうちに書かれた文章なのに「今年」「3年目」と年明けの掲載に合わせた「時制の一致」もばっちり。何度読み返してもニクい▲9日付のローカル面には、春から長崎大の経済学部で学ぶ佐世保の66歳、案納久人さんの記事があった。半世紀前には勉強嫌いの中学生だった。63歳で定時制高校に入り、「学びたい」思いを胸に携えてさらにその先へ▲昨年末の都道府県別生命表で、本県の平均寿命は男女とも80歳を超えた。前向きに日々を過ごすシニア世代の“銀色の輝き”に元気や勇気をもらった読者も多いはず▲先輩方に負けてはいられない。ここ数日、寒い寒いと丸めたまんまの背中を少し伸ばしてみる。(智)

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