松菱金属工業、飯能市に新工場 CH線・磨棒鋼を高品質化

 冷間圧造用(CH)鋼線・磨棒鋼大手の松菱金属工業(本社・東京都羽村市、社長・赤松將雄氏)は11日、埼玉県飯能市に新工場を建設すると発表した。本社第1工場(羽村市)を全面的に移転・更新する。投資額は72億円(土地代含まず)で、同社では過去最大。2018年度上期に建設を開始し、19年度中に飯能工場(仮称)を稼働。第1工場との並行稼働を経て20年度までに本社も含めて移転する。第1工場の跡地は売却する予定。

本社第1工場移転、72億円投じ最新設備

 新工場の所在地は飯能市茜台2の工業団地内で、敷地面積は12万7千平方メートル(約4万坪)。現在の第1工場から圏央道を挟んで約10キロの距離に位置し、主な取引先の北関東地区の自動車関連ユーザーへのデリバリーで立地性に優れる。

 新工場建設に伴い、設備も大幅に更新する。最新の自動酸洗設備や連続熱処理炉のほか、無人搬送車(AGV)や素材・製品の立体自動倉庫も新たに導入。第1工場からはコイルtoコイル(CtoC)の伸線機とコイルtoバー(CtoB)の抽伸機、一部STC炉を移設する。

 また、君津事業所・君津磨棒工場から抽伸機を移設し、磨棒鋼製造も新工場へ集約する。

 建屋は3棟(CtoC、CtoB、本社事務棟)の建設を予定し、効率的なレイアウトで構内物流を改善するとともに、AGV、自動倉庫の導入によるフォークリフトレス化で製品の品質向上を図る。敷地に余裕があることから、将来的には羽村第2工場などの集約も視野に入れている。

 赤松社長は「近年要求が強まっているハイクオリティーの〝需要の高度化〟に対応するとともに、効率的な生産性で競争力を高めて、この先も当社のプレゼンスを引き上げる」と強調。また「第1工場は手狭となっていたため、労働安全面も向上させる」としている。

 同社は新日鉄住金が50・8%、メタルワンが33・9%出資する1947年設立のCH鋼線・磨棒鋼メーカーで、第1工場は62年に建設。17年3月期の売上高は218億円で、従業員は270人。

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