ICAN事務局長 来崎 被爆地と連携、核廃絶目指す

 核兵器禁止条約の採択に尽力したとして、昨年、ノーベル平和賞を受賞した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のベアトリス・フィン事務局長が12日、被爆地長崎を初めて訪問した。「『ノーモアヒバクシャ』の言葉こそICANの使命。世界で二度と被爆者をつくらないために一緒に取り組もう」と述べ、被爆地と連携して核廃絶を目指す姿勢を示した。

 フィン事務局長は、長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の招待を受け、13日に長崎市平野町の長崎原爆資料館で開かれる核禁条約関連のセミナーに参加するため来崎した。

 12日は同資料館で始まった市主催の受賞記念展のオープニングセレモニーに出席し、「二度と被爆者を生まない唯一の方法は核廃絶にほかならない」とあいさつ。同展会場にある平和のメッセージボードには「全ての国、特に日本が核兵器禁止条約に参加することを願っている」との言葉を寄せた。

 また田上富久市長と面談し「被爆者の証言を世界中の若者たちに伝えることが大切。被爆者は核の専門家にほかならない」と強調。市長は「(核廃絶に向け)ICANと一緒になり市民社会からの働き掛けに力を入れなければいけない」と話した。

 フィン事務局長は13日のセミナーで講演し、ICAN国際運営委員の川崎哲氏や日赤長崎原爆病院名誉院長の朝長万左男氏らとパネル討論する。14日に若者との対話集会に臨んだ後、広島と東京を訪れる。

 受賞記念展は3月末まで開かれ、核禁条約やICANの功績を紹介する20枚のパネルを展示。またノーベル文学賞を受賞した長崎市出身の英国人作家、カズオ・イシグロさんが市長宛に送った手紙も見ることができる。

直筆した平和へのメッセージを手に笑顔を見せるベアトリス・フィン事務局長=長崎市平野町、長崎原爆資料館

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