夕闇照らす左義長 大磯

 家内安全や無病息災を願う新春の風物詩で、国の重要無形民俗文化財に指定されている大磯町の火祭り「左義長」が13日、大磯町の北浜海岸で行われた。近隣9地区の正月飾りを集めた高さ約8メートルのサイト9基に点火されると、夕闇を焦がすかのような激しい炎が砂浜一帯を照らした。

 左義長は道祖神の火祭り。大磯左義長保存会の芦川博昭会長(55)によると、江戸時代に疫病で大勢の子どもが亡くなったのがきっかけという。

 昨年12月3日に子どもたちが家々を巡って願いを唱えた「一番息子」から始まり、サイトが燃え上がった後に始まる綱引きで疫病神を退治する「ヤンナゴッコ」までの一連の儀式が「どんど焼き」との違いと、芦川会長は強調する。「両親や祖父母から話を聞くなど、町の子どもたちが左義長を勉強しているのがうれしい。次の世代へ伝承・継承していきたい」。芦川会長は思いを新たにしていた。

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