対馬市、元寇の漫画で観光誘客へ たかぎ七彦さん原作「アンゴルモア」

 長崎県対馬市は、対馬に蒙古(もうこ)軍が襲来した元寇(げんこう)をテーマにした戦記漫画「アンゴルモア」(KADOKAWA刊)とコラボレーションした観光誘客策に今春から取り組む。名所を背景に登場人物が描かれたポスターを作製し、全国の書店で掲示する。作品ゆかりの地を訪ねる“聖地巡礼客”と呼ばれるファン向けにも配る予定で、市観光商工課は「物語の世界観を体験するきっかけに」と意気込む。

 兵庫県出身の漫画家、たかぎ七彦さん(42)が原作。鎌倉時代に2度あった元寇のうち、最初の文永の役(1274年)が舞台で、主人公で架空の人物、元鎌倉御家人・朽井迅三郎(くちいじんざぶろう)や対馬武士団の奮闘を、フィクションを交え描く。

 単行本は2015年の発刊から累計(現在8巻)で約60万部が売れ、「このマンガがすごい!2016」のオトコ編14位にランクインしている。

 作品は、蒙古軍が上陸した「小茂田浜」(同市厳原町)や、飛鳥時代の山城「金田城(かなたのき)」跡(同市美津島町)、霊峰「白獄(しらたけ)」(同)などを重要なシーンで取り上げている。ポスターは、こうした風景写真を背景に登場人物がポーズを取った構図で、たかぎさんが数種類を描く。計750枚作製し、このうち150枚は島を訪れるファン向けに配る。カラーA1判。

 たかぎさんは昨年11月にも対馬を訪れ、元寇犠牲者の霊を祭る小茂田浜神社(同市厳原町)などを取材している。出版社の担当者は「男女・世代を問わず楽しめる作品。国境の島、対馬の歴史について、関心を持ってもらえるだろう」としている。

元寇をテーマにした漫画「アンゴルモア」の主人公、朽井迅三郎(KADOKAWA提供)
元寇犠牲者を祭る小茂田浜神社を参拝する「アンゴルモア」の作者、たかぎ七彦さん=対馬市厳原町小茂田

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