<聞きたい言いたい>松浦市長選に初当選した友田吉泰さん(53) 市民との対話重視

 〈14日告示の松浦市長選で初当選を果たした。山積する課題の解決に向け、どう市政を運営していくのか聞いた〉

 -議員経験が長い。3期12年の友広郁洋市政をどう引き継ぎ、どう新味を出すのか。

 松浦では久しぶりの民間出身の市長となる。民間で学んだことを生かし、県議として吸収したことも還元したい。まずは西九州道や魚市場の整備、病院移転など継続中の大型事業をしっかり完了したい。市民との対話を徹底的に重視するのが基本姿勢。市民のニーズに応えられるかどうかが評価の分かれ目となる。これまでの市政は事業を進める際、基本構想が決まらなければ市民に説明していなかったが、今後は政策の決定過程や目標を住民と共有していく。まちづくりに関するテーマを投げ掛け、市の構想への意見を吸い上げる「対話の場」を設けたい。

 -無投票のため政策論議にならなかった。

 有権者にとって選挙戦は、各候補の政策を吟味して意思を示す機会。候補者は得票が政策の推進力になる。今回はそのバロメーターがない。市政運営の上で配慮していかなければならない点だ。

 -九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働が春に迫っている。多くの住民は避難計画の実効性に疑問を持ち、不安は依然根強い。

 住民が原発を「受け入れられないリスク」と考えている現時点では、私も再稼働を容認できない。半径30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)に入る松浦など県北4市は昨年春、安全対策の充実を国に求めるよう県に要望した。しかし何も具体化していない。UPZという線引きをして、自治体に避難計画策定を義務付けたのは国。ならば道路改良など計画の実効性を向上させるのは国の責任だ。再稼働までにハードを整えるのは難しいが、着工時期を示すといった具体的な対応がなければ、住民の不安は緩和されない。

 -市の人口は約2万3千人。県内13市で最少で、若者の流出に歯止めがかからない。

 今いる住民に暮らし続けてもらう環境づくりが不可欠。西九州道の延伸により、松浦市は約1時間半で福岡圏にアクセスできる場所となる。自然は豊かで、食べ物はおいしい。潜在能力が高く、いかに暮らしやすいか。子どもたちには将来の進路選択のタイミングで伝えていきたい。

【略歴】ともだ・よしやす 1964年、佐賀県小城市出身。趣味は中学1年の時に始めたフォークギター。演奏中は「リラックスできて心が安らぐ」。座右の銘は「志ある者は事ついになる」。

友田吉泰さん

© 株式会社長崎新聞社