路面電車に笑い乗せ 長崎で“走る寄席” 漫才披露

 走行中の路面電車内を寄席にした「長崎 電車漫才」が14日、長崎市内であった。乗客は2回の公演で計約80人。笑いを乗せた電車が浦上車庫前―築町―蛍茶屋の約7キロを駆け抜けた。

 南島原市出身で、テレビ制作に携わっていた東京在住のイベント会社経営、柳志乃さん(40)が「普段乗っている電車を会場にお笑いライブができたら面白い」と開催を思い立った。安全に配慮し、寄席で使われるセンターマイクの使用は控えたが、通路に座布団を敷いて、雰囲気を近づけた。

 出演は芸歴16年の正統派漫才コンビ「三拍子」。2人は2駅目の松山町電停から、観客の拍手の中、乗車。時折つり革を持ちながら、約40分間運転士や観客との掛け合いを交えてテンポの良い漫才を披露。電停で待つ一般客が不思議そうに車内をのぞき込む姿も見られた。

 夫婦で乗車した長崎市京泊2丁目の自営業、岡村一憲さん(64)は「車内はちょうど良いくらいの広さ。瞬発力がある話術はさすが。もう少し聞いていたかった」と感想。柳さんは「お笑いが好きな人が集まってくれた。また長崎で映像とイベントをくっつけた面白いものをやりたい」と話した。

路面電車の中で漫才を披露する三拍子の2人(中央)=長崎市内

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