フォーミュラE:高星明誠も参加のルーキーテスト、ニコ・ミューラーが新レコードで総合首位に

 フェリックス・ローゼンクビスト(マヒンドラ・レーシング)の逆転優勝で幕を閉じた2017/18フォーミュラE第3戦マラケシュePrix。トップ争いを含む数多くの接近戦が繰り広げられたムーレイ・エル・ハッサン・サーキットではレース翌日の1月14日、フォーミュラE“ルーキーテスト”が行われた。

 今回シーズン中に初めて実施された同テストは、“Eライセンス”を所持しないドライバー、すなわちフォーミュラEの走行経験がないドライバーを対象としたもの。

 シリーズに参戦する全10チームが参加するこのテストには、ルノーe.ダムスから参加することになった2017年の全日本F3選手権チャンピオンの高星明誠や、レクサス陣営からスーパーGT500クラスに参戦しているアンドレア・カルダレッリ(ドラゴン・レーシング)、ジェームス・ロシター(テチーター)をはじめ、かつて日本で活躍したフレデリック・マコウィッキ(テチーター)など、日本のファンに馴染み深いドライバーも多数参加している。

 午前と午後の各3時間ずつ計6時間のセッションが設定された14日(日)午前のセッションではカルダレッリが1コーナーでクラッシュして赤旗が出る場面も見られたが、カルダレッリはフロントサスペンションとタイヤを壊しながらもすぐにリスタートを切ったことから長時間のセッション中断とはならず。カルダレッリもピットに戻るとマシンを乗り換えて走行を続けている。

 そんな午前のセッションで最速タイムをマークしたのは元F1ドライバーのポール・ディ・レスタ(パナソニック・ジャガー・レーシング)でタイムは1分22秒343だった。トップと0.090秒差の2番手にはロシターが入り、3番手には2017年FIAヨーロピアンF3選手権でランキング2位につけたジョエル・エリクソン(DSヴァージン・レーシング)がつけた。

 ランチタイムを挟んで行われた午後のセッションでは、アウディのDTMドライバー、ニコ・ミューラー(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)が1分19秒651というスーパーラップで総合首位に。

 このタイムは、前日のフリープラクティス2でダニエル・アプト(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)が記録した1分19秒760を0.109秒上回る新レコードタイムとなっている。

「今日のテストはとても楽しめた。フォーミュラEマシンでの初走行は大成功と言っても過言ではないよ」とミューラー。

「たくさんのラップを走ることができ、本当に楽しかった! ファステストラップはただの飾りのようなものだよ。もっとも重要なのはこの場所で計画した通りの仕事をすることだからね」とあくまでもチームファーストの姿勢だったと語った。

 ミューラーに次ぐ総合2番手は1分20秒597をマークしたしたピエトロ・フィッティパルディ(パナソニック・ジャガー・レーシング)。今季のV8 3.5シリーズチャンピオンから0.1秒差の総合3番手には、FIAヨーロピアンF3でシリーズ3位となったマキシミリアン・ギュンター(ドラゴン・レーシング)が続いた。

高星明誠(ルノー・e.ダムス)

 ニッサンとアライアンスを組むルノー・ワークスからテストに参加した高星は午後の走行で1分23秒076をマークして10番手につけた。午後の走行では予選で用いる200KWでのアタックを行わなかったこともあり、タイムは1分24秒179と控えめなものに。順位も20番手に留まっている。

 計6時間におよんだテストセッション後、高星は「結構フルプッシュで走るのかと思っていたけど、電力消費を気にしなければいけない。今までやってきたことよりも、もうちょっと強く意識しなければいけない部分がいっぱい出てきている」と初めてドライブしたフォーミュラEの印象を語った。

 また、テスト前日に行われた第3戦マラケシュePrixを現地で観戦し、「(コクピット内で)いろいろな操作を駆使してドライビングをアジャストしながら、あれだけアグレッシブな戦いをするのは見ていて面白い! 僕もその場に入って戦ってみたい」という気持ちになったという。

 高星の所属するニッサン陣営は2017年10月に開催された東京モーターショー2017の会場において、2018/19年シーズンからのフォーミュラEワークス参戦を表明。今季限りでシリーズから退くルノー・e.ダムスを引き継ぐと考えられるニッサンチームに高星が起用され、日本人初のフォーミュラEレギュラードライバーとなるのか、その動向に注目したいところだ。

2017/18フォーミュラE マラケシュ・ルーキーテスト 午前タイム結果

Pos. No. Driver Team Time Gap

1 20 ポール・ディ・レスタ パナソニック・ジャガー・レーシング 1'22.343 –

2 18 ジェームス・ロシター テチーター 1'22.433 0.090

3 36 ジョエル・エリクソン DSヴァージン・レーシング 1'22.551 0.208

4 6 マキシミリアン・ギュンター ドラゴン・レーシング 1'22.599 0.256

5 2 アニトニオ・ジョビナッツィ DSヴァージン・レーシング 1'22.782 0.439

6 3 ピエトロ・フィッティパルディ パナソニック・ジャガー・レーシング 1'22.791 0.448

7 9 アレクサンダー・アルボン ルノー・e.ダムス 1'22.834 0.491

8 19 ダニエル・ジュンカデラ マヒンドラ・レーシング 1'22.985 0.642

9 27 ブルーノ・スペングラー アンドレッティ・フォーミュラE 1'22.987 0.644

10 8 高星明誠 ルノー・e.ダムス 1'23.052 0.709

11 68 アレキサンドレ・インペラトーリ NIOフォーミュラEチーム 1'23.076 0.733

12 25 フレデリック・マコウィッキ テチーター 1'23.112 0.769

13 66 ニコ・ミューラー アウディスポーツ・アプト・シェフラー 1'23.136 0.793

14 28 コルトン・ヘルタ アンドレッティ・フォーミュラE 1'23.355 1.012

15 7 アンドレア・カルダレッリ ドラゴン・レーシング 1'23.492 1.149

16 23 サム・デジョング マヒンドラ・レーシング 1'23.580 1.237

17 4 マイケル・ベニャヒア ベンチュリ・フォーミュラEチーム 1'24.216 1.873

18 16 ハリー・ティンクネル NIOフォーミュラEチーム 1'24.581 2.238

19 5 ゲイリー・パフェット ベンチュリ・フォーミュラEチーム 1'25.202 2.859

20 1 ニック・デ・ブリース アウディスポーツ・アプト・シェフラー No Time –

2017/18フォーミュラE マラケシュ・ルーキーテスト 午後タイム結果

Pos. No. Driver Team Time Gap

1 66 ニコ・ミューラー アウディスポーツ・アプト・シェフラー 1'19.651 –

2 3 ピエトロ・フィッティパルディ パナソニック・ジャガー・レーシング 1'20.597 0.946

3 6 マキシミリアン・ギュンター ドラゴン・レーシング 1'20.657 1.006

4 20 ポール・ディ・レスタ パナソニック・ジャガー・レーシング 1'20.774 1.123

5 18 ジェームス・ロシター テチーター 1'20.794 1.143

6 19 ダニエル・ジュンカデラ マヒンドラ・レーシング 1'20.874 1.223

7 2 アニトニオ・ジョビナッツィ DSヴァージン・レーシング 1'20.876 1.225

8 7 アンドレア・カルダレッリ ドラゴン・レーシング 1'20.964 1.313

9 36 ジョエル・エリクソン DSヴァージン・レーシング 1'20.971 1.320

10 1 ニック・デ・ブリース アウディスポーツ・アプト・シェフラー 1'21.108 1.457

11 4 マイケル・ベニャヒア ベンチュリ・フォーミュラEチーム 1'21.351 1.700

12 23 サム・デジョング マヒンドラ・レーシング 1'21.884 2.233

13 9 アレクサンダー・アルボン ルノー・e.ダムス 1'22.027 2.376

14 25 フレデリック・マコウィッキ テチーター 1'22.219 2.568

15 16 ハリー・ティンクネル NIOフォーミュラEチーム 1'22.500 2.849

16 28 コルトン・ヘルタ アンドレッティ・フォーミュラE 1'22.673 3.022

17 68 アレキサンドレ・インペラトーリ NIOフォーミュラEチーム 1'23.791 4.140

18 5 ゲイリー・パフェット ベンチュリ・フォーミュラEチーム 1'23.975 4.324

19 27 ブルーノ・スペングラー アンドレッティ・フォーミュラE 1'24.127 4.476

20 8 高星明誠 ルノー・e.ダムス 1'24.179 4.528

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