被爆体験者も対象 長崎・平和への誓い 応募資格緩和へ

 今年8月9日の「長崎原爆の日」の平和祈念式典で「平和への誓い」を読み上げる被爆者代表を選定する長崎市の審査会の初会合が15日、同市議会会議室であり、被爆者健康手帳の所持を条件としている応募資格を緩和し、手帳を持たない「被爆体験者」らも対象に含める方向で調整することを確認した。

 被爆体験者は国が定める被爆地域の外で長崎原爆に遭ったため「被爆者」と認められず、被爆者と比べ国の援護内容も限られている。

 審査会には被爆者団体の代表と学識経験者計5人の委員のうち4人が出席した。市は応募資格について昨年同様、「長崎で被爆し、被爆者健康手帳の交付を受けている方」などと提示。委員からは「被爆体験者も被爆者だ」、「手帳を持っている人に限定するのはどうなのか」などの意見が相次いだ。また原爆投下から2週間以内に入市していれば「被爆者」と認められるが、それより後に入市した人にも応募資格を与えるため、対象を「長崎で被爆した方」にするよう求める声も複数あった。

 会合後、審査会会長で長崎平和推進協会の舩山忠弘副理事長は「被爆体験者を対象外にするべきではない。門戸を広げることが大切だ」と話した。

 市は応募資格を再検討し各委員へ説明した上で、近く最終決定する。2月1日~3月30日まで応募を受け付け、4月から2回程度審査会を開き、5月下旬に決定する予定。

 被爆者代表を巡っては、「平和への誓い」が始まった1970年から県内の被爆者5団体(当初は3団体)が持ち持ち回りで決めてきたが、被爆者が高齢化する中で門戸を広げるようと、市は昨年から公募に切り替えた。昨年は国内外から21人が応募した。

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