ものづくり日本大賞・内閣総理大臣賞、JFEスチールがダブル受賞 省エネ型焼結鉱製造技術など

 日本のものづくりを担う中核人材や熟練技能者、若手研究者らを表彰する「ものづくり日本大賞」で、JFEスチールのグループが最優秀賞に当たる内閣総理大臣賞に選ばれた。これとは別にジャパン・マリンユナイテッド(JMU)とJFE、IHIの3社のグループも同賞を受賞。JFEは同賞をダブル受賞する。大同特殊鋼は本田技術研究所などと共同で経済産業大臣賞を、新日鉄住金は特別賞をそれぞれ受賞する。総理大臣賞の表彰式は22日、経産大臣・特別賞は2月5日、いずれも都内で行われる。

大同特殊鋼は経産大臣賞、新日鉄住金は特別賞

 同表彰は今回で7回目。総理大臣賞に選ばれたJFEの技術は二酸化炭素(CO2)排出削減に有効な省エネ型の焼結鉱製造技術「スーパーシンター」。JFEの佐藤道貴氏らが焼結鉱の製造プロセスを冶金学的に分析し、焼結鉱製造に使う粉コークスなど従来燃料の一部を、水素系の気体燃料で燃焼効率が高い都市ガスに置き換えることで、焼結鉱の品位向上とCO2排出削減を同時に実現した。

 同技術は同社の国内製鉄所の全焼結機に導入し、CO2削減と数百億円規模のコスト削減を達成した。JFEの総理大臣賞受賞は初めて。

 一方、JMU、JFE、IHIの受賞技術は「革新的構造・施工技術『構造アレスト』で実現した安全・環境性能に優れるメガコンテナ船」。JMUの豊田昌信氏、JFEの長谷和邦氏、IHIの猪瀬幸太郎氏らが連携し(1)船体の大規模な破壊を防ぐ世界初の「構造アレスト」技術(2)圧廷条件の最適化と独自の厚板冷却技術による超極厚・超高張力鋼板(3)短時間で低コストな超高効率溶接技術―を開発し、安全性と環境性能に優れる大型コンテナ船を実現した。

 大同特殊鋼などはハイブリッド車(HEV)モータ用となる重希土類完全フリーのネオジム磁石の開発で選ばれた。新日鉄住金はトラックやバスなど商用車用補助ブレーキ装置のリターダの高性能化が評価された。

 鉄鋼・非鉄関連企業の受賞案件・受賞者は次の通り。

 内閣総理大臣賞
 【製造・生産プロセス部門】

 ▽CO2排出量削減に適した製鉄原料製造プロセス(Super―SINTERR)の開発=JFEスチール

 【製品・技術開発部門】

 ▽産業革新を牽引する、世界最高性能のIoTセンサー開発=日立製作所、日立オートモティブシステムズ、日立金属

 ▽革新的構造・施工技術「構造アレスト」で実現した安全・環境性能に優れるメガコンテナ船=ジャパン・マリンユナイテッド、JFEスチール、IHI

 経済産業大臣賞
 【製造・生産プロセス部門】

 ▽多様な素材・形状の大型容器を実現する熱間複合精密加工技術=タンレイ工業、新潟県工業技術総合研究所

 【製品・技術開発部門】

 ▽世界初、重希土類完全フリーHEV用熱間加工ネオジム磁石および駆動モータの開発=本田技術研究所、大同特殊鋼、ダイドー電子

 特別賞
 【製造・生産プロセス部門】

 ▽鉄鋼圧延用ロールの省エネ、低コストを実現する世界初の再生技術・摩擦圧接技術の開発=フジコー

 ▽超精密板鍛造プレスにおける金型内ねじ転造(雄ネジ)工法一貫システムの確立=高橋金属

 【製品・技術開発部門】

 ▽世界初!優れた機械強度と導電率の両立を実現した銅合金3D積層造形技術の開発=ダイヘン

 ▽永久磁石式小型軽量リターダの開発=新日鉄住金

 優秀賞
 【製品・技術開発部門】

 ▽高精度バリレス切断、曲げ加工等を可能にしたプレス一貫加工技術の開発と実用化=日伸工業

 ▽自動車用鉄部品をアルミへ置換することを可能とするアルミ高強度化鍛造技術の開発=戸畑ターレット工作所、九州工業大学

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