アルミ機器・機械装置の「SUS」、福島事業所に新工場 アルミビレットを一部内製化、10億円投じ鋳造ライン新設

 ファクトリー・オートメーション(FA)向けアルミ機器製品および機械装置の設計開発・製造・販売を手掛けるSUS(社長・石田保夫氏)は、アルミ押出機などを保有する福島事業所(福島県須賀川市)にアルミビレットの鋳造工場を建設した。建屋や新設備の導入には総額10億円を投じた。今月から工場内で発生する端材などを再利用するための設備を本稼働させ、自社で使用するビレットの一部を内製化する。溶解・鋳造から押出、各種加工までの一貫生産体制を整え、リサイクル材使用による循環型事業所の確立を目指す。

 SUSはこれまでビレットを外部から調達し、押出工程以降を内製化してFA製品を提供していた。押出工程や切断などの後工程で発生するスクラップは外部に販売していたが、出荷量の拡大に伴い端材の数量も年々上昇。またFA製品の販売先から使用済み製品を引き取るサービスも順調に推移していることで、スクラップ原料の集荷が増えていた。こうした中、自前の溶解・鋳造ラインで端材などをリサイクルすることで、配送費の低減などコストダウン効果や環境対応力が高まると判断し設備導入を決めた。

 既存の敷地内にこのほど完成した溶解鋳造工場の建屋面積は約1400平方メートル。溶解保持炉(5トン傾動炉)と竪型鋳造ラインが設置された。月産能力は300トンで、最大12インチのビレットを製造できる。昨年12月に火入れ式を開催して以降、鋳込み作業に入っていたが今月から本格的な量産に移行する。

 SUSは今回の設備導入後も、外部からのビレット調達は継続する。松原浩幸福島事業所長は「将来的にはA6063合金でも特殊な合金を製造できるように研究開発を進めたい」と説明。中長期的には生産できるアルミ合金を拡充し、FA機器製品のさらなる品質向上にも取り組む考え。

 福島事業所はアルミ押出からアルマイト加工、切断など各種加工、組み立てまで対応しているSUSのマザー工場。8インチ、12インチの押出機を保有し、国内外の販売ネットワークを利用して製造業の工場の自動化などに貢献している。

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