カネミ油症3者協議 被害者側が合意書案提出 民間療法など支援拡充要望

 カネミ油症の被害者団体と原因企業カネミ倉庫(北九州市、加藤大明社長)、国が被害者救済について話し合う3者協議が24日、福岡市内であり、被害者側は民間療法などへの支援拡充を盛り込んだ合意書案を提出。カネミ倉庫側は経営難を理由に難色を示しながらも「案を精査する」とした。

 医療費の自己負担分はカネミ倉庫が原則支払うことになっているが、治療法は未解明。合意書案は全国の被害者13団体の連名で、症状緩和に効果があるとされる温泉、サウナなど民間療法や健康食品への支払い拡充、亡くなった際の香典、葬祭費などを要望している。加藤社長は取材に対し「できることとできないことがある。被害者団体と対話を続ける」と話した。

 一方、被害者側からは国に対し、予算措置などによる被害者支援を求める声が上がったが、厚生労働省の担当者は「カネミ倉庫の検討を注視する」と述べるにとどめ、国としての対応策は何も示さなかった。

 終了後、カネミ油症五島市の会の宿輪敏子事務局長(53)は「国の積極的な動きも必要なのに、前向きな発言がなく残念」と語った。

 協議は被害者救済法に基づき4回目。非公開で、本県など被害者11団体の代表者らが出席した。次回は6月ごろ開く。

(2015年1月25日掲載)

3者協議で意見を交わす加藤社長(右端)と被害者団体代表ら(左の列)=福岡市博多区、福岡第二合同庁舎

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