カネミ油症 検診認定1人だけ 本年度 抜本救済求める声

 カネミ油症事件で県は12日、本年度の油症検診を受けた未認定患者62人のうち、五島市玉之浦町の60代男性1人を新たに認定したと発表した。昨年と同じ1人のみの認定で、依然として低い認定率。2012年施行の被害者救済法に基づく「同居家族認定」も3日現在5人だけ。今年は同法施行から3年で、同法付則で定められた見直しの年。被害者からは抜本的救済を求める声が上がっている。

 有害物質の血中濃度測定など検診に基づく認定は、医師でつくる県油症対策委員会が2月26日付で答申。また、認定患者と同居し汚染油を摂取した家族を患者とみなす同居家族認定は、昨年6月から現在までに申請があった五島市などの男女5人を認定した。

 県によると県内の認定患者数は944人(死亡、行方不明、転居含む)。県内在住の生存者数は3日現在、465人(うち同居家族認定113人)となった。

 救済法施行で、認定の幅は一定広がったものの検診による基準は非常に厳しく、課題は山積。カネミ油症五島市の会の宿輪敏子事務局長(53)は「まず未認定患者の認定を。また根本的な治療法確立のための取り組み、(影響があるかもしれない)子や孫たちが幸せになれる方策も救済法見直しで実現してほしい」と語った。

(2015年3月13日掲載)

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