カネミ油症 原告敗訴確定 「これ以上 何をすれば」県内患者ら 次世代救済 懸念も

 「司法に訴える以外に何をしろというのか」-。3日、原告敗訴が確定したカネミ油症の新認定訴訟。司法による救済の道が事実上閉ざされたともいえる最高裁の決定に、本県の原告からは憤りの声が上がるとともに、子や孫ら次世代被害の対応など今後の課題への懸念も広がった。

 五島市内に住む70代の原告女性は同日午後、「敗訴」の一報を聞き、やりきれない思いを抱えていた。「カネミ倉庫が悪いのは、はっきりしている。こんなことってあるの」

 1968年、30代前半で3人家族だった。炒め物やてんぷらでカネミ油を摂取。皮膚症状や強烈な体のだるさ、関節痛、目の病気などに苦しめられ、周囲に相談もできず悩み続けてきた。ようやく油症認定されたのは2004年。体の不調は年々増し、先月も目の手術を受けたばかり。いくら法律論を並べられても、油症認定される前に損害賠償請求権がなぜ消えてしまったのか、理解も納得も全くできない。女性は「これ以上何をすればいいのか」と声を震わせた。

 原告団長の岩村定子さん(65)=五島市奈留町=も「信じられない」と唇をかむ。司法から敗訴を突きつけられたことで、健康影響が心配される子や孫の代への今後の法的救済も気掛かりだ。岩村さんは「油症事件で訴えていくべき救済問題はまだまだあるのに」と肩を落とした。

(2015年6月4日掲載)

「裁判所の決定には納得できない」と声を震わせる原告女性=五島市内

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