カネミ油症3者協議 新支援策に落胆 抜本的救済、程遠く

 カネミ油症の被害者団体と国、原因企業のカネミ倉庫(北九州市、加藤大明社長)が救済策について意見を交わす3者協議が24日、福岡市の福岡第2合同庁舎であった。被害者救済法施行から3年が経過したことを踏まえ、厚生労働省は「検診手帳」の交付など2016年度から新たな支援措置を実施すると報告。しかし、被害者側が求める未認定被害者への対応など抜本的な救済策には程遠く、落胆の声が漏れた。

 協議は非公開。同省によると、検診手帳は認定患者に交付し、油症検診時の症状などを経年で記録するもの。漢方薬を用いた治療研究の促進と相談体制の充実、油症患者受療券が利用できる医療機関の拡大も掲げた。検診手帳は交付に伴う優遇措置がなく、被害者からは「持つメリットが分からない」などの意見が聞かれた。

 一方、被害者団体は合同で、認定につながる診断基準の見直しや新認定患者の救済、年間24万円の生活支援金の増額など8項目を国に要望したが、同省担当者は取材に対し「難しい要望をいただいた」と消極的見解。どう検討するかなどは明言しなかった。

 カネミ倉庫も、被害者の医療費拡充に関する要望に難色を示した。加藤社長は取材に「要望に応えられるだけの資力がない」と従来通りの主張に終始した。

 出席したカネミ油症被害者五島市の会の宿輪敏子事務局長は「国が出してきた施策は私たちが求めていることとは随分と溝がある。堂々巡りで結局、期待外れ。未認定患者への言及もなく、何のための救済法なのかとむなしさすら感じる」と憤った。

 救済法に基づく3者協議は6回目。本県の被害者団体など11団体が出席した。次回は来年1月ごろ開く予定。

(2015年10月25日掲載)

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