カネミ油症3者協議 「受療券」利用拡大へ 医療費も対象拡充めざす

 カネミ油症の被害者団体と国、原因企業のカネミ倉庫(北九州市、加藤大明社長)による3者協議が14日、福岡市であり、国は医療費の窓口負担が不要になる「受療券」を利用できる医療機関を増やす方針を明らかにした。カネミ倉庫が負担している医療費の拡充に向けて被害者側の要望を今後検討することも決めた。次回は来年1月ごろ。

 協議は被害者救済法に基づき、3回目。本県など13団体代表や加藤社長、厚生労働省の担当者らが出席し、非公開で開かれた。

 受療券はカネミ倉庫が油症認定された被害者に発行しているが、厚労省によると、券に対応する医療機関や薬局は13都府県323カ所に限られる。不便を強いられている被害者もいるという。同省は昨年度の健康実態調査で、券を利用できるようにしてほしい医療機関を被害者に質問。まず3人以上が挙げた3県13カ所を対象に、各県を通じて券への対応を要請する。

 医療費に関しては現在、はり治療や健康食品などが対象外だが、カネミ倉庫は被害者側が次回示す素案を基に拡充について協議することを了承した。加藤社長は取材に「前向きに検討したい」と答えた。

 原因物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)を製造したカネカ(大阪市)が、被害者との面談を再度断ったことも報告された。

 カネミ油症関東連絡会の前島太共同代表(47)=五島市奈留町出身=は「医療費拡充を検討する方向に進んだのは好材料」と話した。

(2014年06月15日掲載)

「受療券」の利用拡大などについて意見を交わした3者協議=福岡市博多区

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